歌手小柳ゆき(37)が今月13日に、千葉・浦安市の舞浜アンフィシアターで、デビュー20周年記念ライブを開催する。「20年を区切りにして新たな船出をしたい」と、昨年末で大手芸能事務所から独立。このほど、日刊スポーツの取材に独立後初めて応じて、船出への思いや20周年の道のり、ライブへの意気込みなどを語った。

公演サブタイトルは「貪欲」だ。「コラボレーションをしたいアーティストに貪欲にお願いをして、本当に満足できる公演にしたかった」と説明する。ゲストにはデーモン閣下、大黒摩季や声優野沢雅子さんらが参加。「野沢さんは(ドラゴンボールシリーズの)孫悟空の声が一番好きで、ずっと憧れていたんです。お話をしたら『いいよ』と言っていただいた」と声を弾ませた。公演ポスターで「DON」と「YOKU」の間に「$」マークを入れたのは「『貪欲』といえば『お金』だから」。シャレっ気もたっぷりだ。

99年に現役高校生シンガーとして「あなたのキスを数えましょう」で鮮烈デビュー。154センチのスリムな体から発する爆発的な声量で世間の度肝を抜いた。同曲はオリコンで45週連続チャートインをするロングヒットを記録。翌年に発売したアルバム「EXPANSION」が初めて100万枚を超え、洋楽カバーとして史上初のオリコン1位となるアルバム「PRODUCT1」もリリース。新人ながら、音楽史に名を刻む目覚ましい活躍を続けた。

その裏には人知れぬ苦悩もあった。05年1月に渡英してロンドンで約4カ月を過ごした。当時は、大好きな歌が「仕事」になったことで「本当に歌が好きなのか分からなくなっていた」と迷いがあったという。だが、仕事に追われる日本を離れたことで自分を取り戻すことができた。「今は『好き』というよりは『共に生きている』ですね」。“歌との一心同体”を強調し、「今の私から歌を取ったら何も残らない」と言い切った。生まれ変わっても歌手になりたいか? そう質問すると「はい。それ以外は思い浮かばない」と即答した。

今年が20周年の節目。改めて、独立を決断した理由を聞くと「20周年を機に、自分の足で歩いてみたくなった。長年にわたって守ってもらったことには感謝しかありまません」と話す。現在、最も苦労をしているのは「事務作業。会社経営の手続きなどです」と苦笑した。

これからも、持ち味のソウルフルな歌声を前面に出して「感情の波をダイレクトに歌っていきたい」と話す。00年から3回連続で出場した紅白歌合戦には「声がかかればもちろん出たい」。歌だけではなく「面白い」と思うさまざまなことをやっていくつもりだ。今年7月には、アメコミ漫画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のキャラクターのコスプレをインスタグラムで披露。ファンから「似ている」「そのまんまじゃん」など多くのコメントが寄せられた。「好きで勝手にやっただけなんです。今はやりたいことがダイレクトにできる。今後も『面白い』というものにどんどん手を出していきます」。歌手としての「成人式」を迎えた小柳はこれからもひたすら貪欲に、自分の足でマイウエーを歩んでいく。【松本久】

◆小柳(こやなぎ)ゆき 1982年(昭57)1月26日、埼玉県生まれ。99年に「あなたのキスを数えましょう」でデビュー。「愛情」「be alive」などヒット曲多数。アルバム「EXPANSION」(00年)がミリオンヒット。NHK紅白歌合戦に3回出場。4日に配信曲「Prelude」を発売した。154センチ。血液型B。