俳優渡辺大(41)が4日、東京・よみうり大手町ホールで、6日に再演初日を迎える舞台「罠」(演出・深作健太氏)取材会&公開舞台稽古に出席した。このほど、日刊スポーツの取材に応じ、再演への思いなどを語った。

同舞台はフランスの劇作家ロベール・トマが1960年(昭35)に発表したサスペンス劇。男女6人のだまし合いが最後まで目が離せない、謎が謎を呼ぶ推理劇となっている。

上川隆也(61)主演で24年に上演した際、渡辺はダニエルを演じた。好評につき、わずか約1年半での再演が決定した。同作を「40歳の時にやって、1つの転換点になった作品」と位置付け、「またどこかでと思っていたら、あっという間の再演で、この作品に携われるのはありがたい」。

短期間での再演実現。支持された理由について「どんでん返しの頂点みたいな作品なので、見た人が脱力して動けなくなるぐらい。ある意味、2時間吸い込まれると思う」と推しはかった。

舞台はまだ7本目。再演は今回が初めて。「“再演とは”をずっと考えていたところだった」とし、「一昨年“やり切った”という自負があって再演に挑んだのですが、またぺちゃんこになって…」と苦笑い。それでも、「この繰り返しが役者なんだろうなって」とほほ笑んだ。

再演は決して前回をなぞるものではない。「特にこの作品は演じる人や、その人が持つ雰囲気、重ねた年齢によっても変わる、そんな奥深さがある」という。「だから、筋もほとんど一緒、台本も一言一区大きくは変わっていないのに、全部バラさないとダメなんです」と明かし、「やってもやってもつかみどころがない。ちょっと苦戦しましたね」と吐露した。

だからこそ、やりがいもある。「いわゆる生みの苦しみなので、やるしかない。でも、僕たちが苦しんだ分だけ意味があると思うし、それが本番に影響してくると思っています」。

演じるダニエルについて、24年版とはテイストを変えている。「前回はちょっと反狂乱でヒステリックだったけど、今回はすごく繊細。やっていることは全部一緒ですが、演じ方は全く違う」。

26年版では「セリフだったり、動きだったり、心とのバランスをあえて逆というか、アンバランスを意識している」とし、「要は楽譜通りに弾いちゃダメなんです。だからテンポだったり、リズムだったり、音程だったりを崩しながら、不協和音をちゃんと成立させるのが、今回のダニエルなんです」とより高みを目指している。

「だから、再演と言っても同じものをパッケージで出すのではなく、全く違うものを作れるというのも、この作品の面白さですね」とアピールした。

6人中5人が前回からの出演となる。「どこまで隠して、どこまで見せるか。その微妙なあんばいを今探っているところで、本当に細かいチューニングをしている感じです」。

前作で凰稀かなめ(43)が演じた看護師ベルトン役は今回、須藤理彩(49)が演じる。「その人の魅力が引き出されると面白さが変わり、作品全体の色味も変わる。だから再演とは思えないぐらい面白い」と胸を張った。

前作を見ているファンには「まだ記憶が鮮明なうちに見ていただけるというのも、1つの楽しみかなと思います」と、短期間での再演ならではの楽しみ方を紹介した。

また、今回初めて見る方には「これはね、もう、最初が一番楽しいんですよ!」と目を輝かせた。「まるで脳を殴られた衝撃というか。“どんでん返しの連続”という面白さがあるので、とにかく余計な前情報はゼロで見るのが本当に楽しいと思う。何が起こったのかを2時間、しっかり見届けてほしいですね」。

その上で、自ら演じるダニエル役について「基本的にこの作品は、おそらく僕を中心に見るんです。というか、僕がお客さんと同じ目線になるんです」とした。「だから1回目は多分、僕中心の目線で出来事を追っていって、徐々にそれぞれの目線で追っていくのも、それはそれで面白いんじゃないかなって思います」。

舞台「罠」ついて、「ちょっとした変化で、これだけ色や形が変わる作品は珍しい」と形容。「前にやっていてもいろんな発見があって、いまだに“こういうことか”とか言いながらやっています」とほほ笑んだ。

わずか1年半での再演。26年版が好評なら、再々演もあり得る。「そうなればうれしいですね。でも40代はダニエルをやっていきたい。(上川演じる)カンタン警部、(藤本隆宏演じる)メルルーシュは50代になったら挑戦したいですね」とした。

26年版舞台「罠」について、「前回見た方は、全然違う新解釈の人間模様が描かれているので、ぜひ確認していただきたいです」とし、「初めての人は早く見に来てください! とにかくこの2時間、片時も目を離せない展開を楽しんでいただけたらと思います」と呼びかけた。

舞台「罠」は役者の力量が試される作品であり、出演人数が少ないためミスも許されない。6人の魂のぶつかり合いに期待したい。