先日、野間出版文化賞を受賞した作家東野圭吾氏の贈呈式の様子を取材しました。各受賞者のあいさつは、さすが作家という素晴らしい話が多かった中、東野氏のあいさつも秀逸でした。

東野氏は「未来のことを話したいと思います」と切り出すと「子供の頃、21世紀になった時、自分は何歳になるかと計算して、43歳だと分かった時、なんだ、そんなジジイになっているか」。18年たって現在は61歳。「43歳を振り返ってみると若かったなと思います」と語りました。

続けて「来年の今頃とか10年後とか、おれが野間出版文化賞を取ったのは61歳だったなと振り返った時に、若かったなと思うに違いありません。ここにいる人たちは結構、多くの人たちが100歳まで生きるかもしれません。その時に80歳だった自分を思い出し、ああ、若かったなと、あの時にできることがいっぱいあったなときっと思います」と話していました。

誰もが共感できる話。その後、さすがだなと思う話が登場します。

「ここにいる皆さんの明日からの人生の中で、一番若いのは今日です。僕もまた来年、1つ年を取りますが、今日が一番、若いんだから、今日が一番、これからの人生で可能性がある」。

高齢化が進む中、人生100年という言葉も耳にします。これからやってくる「今」を大切にしっかり生きる。高齢者だけでなく、すべての人の背中を押してくれるような気がしました。