歌舞伎俳優片岡仁左衛門(75)が18日、都内で巡業公演「松竹大歌舞伎」(西コース=4月1日~26日)の制作発表に出席した。

「義経千本桜」で、いがみの権太を演じる仁左衛門は「巡業を楽しみにしています。歌舞伎を見ていただくのが難しい人に見てもらいたい。我々には、先人が残したものを守っていかなくてはならない使命がある。多くの方に見てもらいたい。初めて歌舞伎を見る方にも、よかったなと思ってもらえるよう頑張って、少しでも歌舞伎ファンを増やしたい」と話した。

新型コロナウイルスがまん延する中でも、歌舞伎には多くの観客が訪れている。仁左衛門は「ありがたい。大変な時期に、それを押してでも見に来てくれる。来てよかったなと思ってもらえるように努めるのが使命」と話した。

「義経-」の見どころを聞かれると「難しいですね。まず、愛。親子の愛、主従の愛、義理人情。そういうものに気が付いていただければ。歌舞伎というものは、愛というものを大事にしているのが多い。決して堅苦しいものではないんです」。演じる、いがみの権太については「解説では権太はならず者とされているが、悪いことはするけどかわいい悪。大人になっても、どこかかわいい。悪いことをしているけど憎めない。夫婦愛、子供への愛、親への愛を大事にしている。かわいいし、魅力的。私が、随分書き換えている。分かりにくいところはカットして、回りくどいところは素直に。私の自信作でございます」と笑った。

1カ月に及ぶハードスケジュールの巡業を乗り切るコツについては「あまり夜更かしをしないこと、失敗があっても、くよくよしないこと。気持ちが元気なら、体も元気になる。芝居が不出来な時も、それを明日の糧にして、自分の気持ちを高揚させる」と話した。