俳優竹内涼真(26)主演のTBS系連続ドラマ「テセウスの船」(日曜午後9時)の最終回が、22日に放送される。

同ドラマは、週刊漫画誌「モーニング」(講談社)連載の東元俊哉氏による同名漫画の実写ドラマ化作。竹内演じる主人公の田村心が、警察官の父親(鈴木亮平)が起こした連続殺人事件の謎を追い、事件直前にタイムスリップ、過去を変えるタブーに挑む本格ミステリーだ。

視聴率は、第1話の11・1%から上り調子。第2話以降は11・2%、11・0%、11・0%、11・8%、13・2%、14・0%、15・3%、14・9%と尻上がりに上昇中で、伏線が多数ちりばめられ複雑化する人間関係の中で、ネット上では事件の黒幕をめぐる考察と議論が盛んに行われている。

ヒットの理由を探っていくと、ストーリーやドラマ自体の魅力以外にも、放送枠という仕掛けがあることが見えてきた。しかも、この仕掛けは4月以降にも大きな効力を発揮しそうな様子だ。

同局の日曜午後9時のドラマ枠は「日曜劇場」と呼ばれている。ここ2年近くのラインアップを見てみると、「陸王」「99.9-刑事専門弁護士-SEASON2」「ブラックペアン」「この世界の片隅に」「下町ロケット」「THE GOOD WIFE/グッドワイフ」「集団左遷!!」「ノーサイド・ゲーム」「グランメゾン東京」など企業もの、ヒューマンドラマなどいわゆる、王道ドラマが並んでいる。

今回の「テセウスの船」ようなミステリー作品は、どちらかというと同局の金曜ドラマ枠(金曜午後10時)で多く放送されてきた。同枠では過去に“イヤミスの女王”と呼ばれる作家・湊かなえ氏の原作作品や話題となった「アンナチュラル」などが放送されている。TBS関係者によると、今回、あえて、日曜劇場の枠に金曜ドラマのようなミステリー作品を持ってきたということだ。

4月から放送される大ヒットドラマ「半沢直樹」の続編へ向け、日曜劇場という放送枠のマンネリ解消を含めた編成戦略ということらしい。そして、その重要なミッションは「下町ロケット」シリーズや「陸王」「ブラックペアン」に出演するなど、まさに日曜劇場の申し子と言える竹内にたくされ、それを竹内が完璧に近い形で遂行したということだ。

「テセウスの船」がどのようなエンディングを迎えるか分からないが、編成戦略という意味では、大変大きな作品になったようだ。