渡辺いっけい(57)が25日、都内で行われた初主演映画「いつくしみふかき」(大山晃一郎監督)公開記念会見(大山晃一郎監督)に、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、フェースシールドを着けて登壇した。コロナ禍の中、役者として思うことを聞かれ「役者として、お仕事がいただけるのか不安になった。単純に自信がなくなった」と吐露した。

「いつくしみふかき」は、大山監督の長編映画初監督作で、6年がかりで製作し、撮影を行った長野と、渡辺の地元の愛知県豊川市で2月に先行上映していた。4月17日に東京・テアトル新宿で公開予定だったが、新型コロナウイルスの影響で公開が延期となり、6月19日からテアトル新宿で公開された。

渡辺は、自粛期間中に何をしていたかと聞かれ「片付けを始め、役者をやって30年、初めて台本をシュレッダーにかけた。まだ終わっていませんが」と笑った。その上で「役者は、こういう時にやりようがない。マルチな才能があれば別だけど…芸人の方のリモートを見ながらシュレッダーをかけていた。人を笑わせるのって、すごいな…今、役者と言えるのかなと自問自答した」と振り返った。

渡辺は、コロナ禍で自粛期間に入る前の3月初めに、舞台の仕事が流れてしまい、激しいショックを受けたという。「今年、最初の仕事が舞台。1カ月くらい、みっちり練習し、3月初めに劇場で3日、リハーサルして、という劇場入りの段階で中止。初めての経験。精神的に堪えた」と吐露。未曽有の出来事にショックは激しく「コロナが明けたらと、舞台のオファーが来たが、同じ目に遭うのが嫌でお断りした。あんなにきついことが嫌で、後ろ向きになった」と新規の仕事も断ったという。

政府の緊急事態宣言が全国で解除され、テレビドラマや映画の撮影も再開し始めている。渡辺は「再開し、始まってはいるがフワフワしている。撮影に挑んでいるが、振り切ってやりにくい。どう振り切っているか。活路を見いだしてる人に聞きたい」と複雑な心情をのぞかせた。その上で「自分はSNSのアカウントなども持っているけど、つぶやいたことがない。渡辺いっけいです、と自分で言うタイプではない。でも、こういう人間がいても、いいと思う」と苦笑いした。

この日は、渡辺のほか大山監督、出演・プロデュースの榎本桜(35)が登壇。そして映画の元となった実話を提供した、劇団チキンハート主宰の遠山雄(36)が、撮影地の長野県飯田市からリモートで参加した。