女優吉本実憂(23)が、主演映画「透子のセカイ」(曽根剛監督、公開日未定)でフランス・ニース国際映画祭最優秀外国映画主演女優賞を受賞した。このほど吉本が日刊スポーツの取材に応じ、初となる女優賞受賞の喜びを語った。

授賞式は6月末、新型コロナの影響を受けオンラインで開催された。国際映画祭での初受賞に驚きつつ、「今までは一歩及ばずということが多かった。賞をいただくことが全てではないんですけど、認められたという気持ちになってすごく光栄でした」。

撮影は18年12月、自然豊かな千曲市を中心にオール長野ロケで行われた。吉本演じる、みこの透子が町の謎を解き明かしていく和製ファンタジー。劇中では歌に踊りに、ミュージカルシーンを演じている。監督は映画「カメラを止めるな!」の撮影監督を務めた曽根剛氏。振り付けも自身で担当した。「監督は自由にやっていいよって言うんですけど、自由が一番困る(笑い)。でも自由でいいんだと思って、楽しくやりました」と振り返る。

「カメ止め」は冒頭のワンシーンワンカットが有名。今作のミュージカルシーンも約4分間のワンカットで撮影された。失敗できない場面だが、「緊張もせず楽しく撮影を終えました。懐の深い人が集まっているので、あたたかい空気の中で撮影できました。それが作品にも表れていると思います」。

コロナの影響で全国上映は未定。見通しは立たないが、吉本は「早く届けたいです」と話す。自粛期間中は、多くの人が関わり作品が完成することのありがたみを感じていたという。今は「うずうずしてます」と演技への渇望をのぞかせながら、「ただ演じるだけじゃなく、ちゃんと人に届くものを作れるようになりたい。リアルさを常に追求していきたいです」と飛躍を誓った。

◆「透子のセカイ」 神社でみことして働きながら楽しく暮らす透子(吉本)は、楽しみにしていた村の祭りが古い言い伝えで中止になると知る。どうしても祭りを開催したい透子は周囲の反対を押し切り1人で準備を進めるが、ある少女との出会いで事態が思わぬ方向へ転がっていく。共演は浜津隆之、白石優愛、原西孝幸、勇翔ら。

◆吉本実憂(よしもと・みゆ)1996年(平8)12月28日、北九州市生まれ。12年8月「第13回全日本国民的美少女コンテスト」グランプリを獲得し芸能界入り。14年7月、日本テレビ系「獣医さん、事件ですよ」でドラマデビュー。ドラマは同年NHK大河「軍師官兵衛」、16年連続テレビ小説「とと姉ちゃん」など。映画は今年「瞽女GOZE」が公開予定。160センチ、AB型。