中村勘九郎(38)中村七之助(37)が、東京・浅草寺の五重塔前に特設舞台を設置し「歌舞伎生配信特別公演」(27日午後7時)を行うことが9日、分かった。演目は中村屋にとって縁が深い「連獅子」で、勘九郎が親獅子を、七之助が子獅子を演じる。こしらえ(衣装、化粧)をして兄弟2人で同演目を踊るのは初。このほどオンラインで日刊スポーツなどに、公演への思い、12年に亡くなった父勘三郎さんとの思い出を語った。

生配信公演は、7月に行った浅草公会堂からの公演に続く第2弾。勘九郎は「おもしろいものをお届けしたいという思いだけ。父と一緒に行った屋外での公演経験を生かしたい」と話した。カメラを5台入れ、ライトアップされた五重塔を借景にして踊る。

2人の「連獅子」への思いは特別だ。勘三郎さんを親獅子に3人で踊ったこともあれば、兄弟どちらかが子獅子で踊ったこともある。勘九郎は「父との思い出が詰まった作品。踊りが好きになって、怖さも知った作品です」、七之助も「父から、踊り方や気持ちなど、精神をたたき込まれた演目です」と振り返った。

豪快な毛振りで知られる演目。女形として活躍する七之助にとっては、近年演じることがほとんどなく、10年ぶりとなる。七之助は「配信ならではの特別感を出したくて兄弟での『連獅子』を提案し、子獅子に手を上げました。一生に1度です。お見逃しなく」と話す。勘九郎にとっても国内公演で親獅子を務めるのは初で、貴重な機会になる。

平成中村座の始まりの地、若手の歌舞伎公演、お練りなど、浅草とともに成長してきた2人。コロナ不況で苦しむ町を元気にしたい思いもある。勘九郎は「音が浅草に響く。参拝客や観光客も減った中、恩返しができれば」。後半には芸談もある。

▽野外特設舞台のため、雨天の場合は中止となる。開催判断は当日午後5時。中止の場合、10月31日午後7時配信に変更される。勘九郎は「中村屋につきものの、雨が降って奇跡的に晴れる、ということになるかも」。配信は、イープラス「Streaming+」、チケットぴあ「PIA LIVE STREAM」で料金3500円。11日から発売。見逃し配信は10月4日まで。