23日に封切られた、河瀬直美監督(51)の新作「朝が来る」が、米アカデミー賞の前哨戦として知られる、ゴールデングローブ賞のノミネートの対象作品に入ったことが26日、分かった。同監督はこのほど、同賞を主催するハリウッド外国人映画記者協会(HFPA)が試写会後に開いたQ&Aにリモートで参加し、現地記者の質問に応じた。ノミネート作品は21年1月に決定予定。ノミネートされれば、監督人生25年で初めて。

ゴールデングローブ賞は例年、12月初旬にノミネート作品が発表され、1月初旬に授賞式が行われるが、今回は新型コロナウイルスの感染が拡大していることを受け、ノミネート作品の発表は21年1月末、授賞式は同2月28日(現地時間)に予定されている。

河瀬監督は、質疑応答の中で「私自身の映画が社会の闇の部分、言葉では表現できない真実のようなものにスポットライトを当てて、世界と共有する。そのことによって、世界がより多様性を持って、豊かな社会を構築していくところに寄与できれば良いなと思っています」と語った。その上で「コロナの時期に、こういった作品を世に出せるということは、我々人間が分断されるような最中に、つながりを持って次の世界に歩を進めていく力になれれば良いなと、心から願っています」と訴えた。

また、今後の新作の構想、方向性について聞かれると、河瀬監督は「今、フィクションの映画に関しては一切、構想しておらず…なぜなら、国際オリンピック委員会(IOC)から依頼された、東京オリンピックの公式映画監督になっているので」と、東京五輪公式映画監督の仕事に集中していると明言。その上で「コロナの状況が、どのようになっているのか現実を見つめながら、東京が世界の人たちを迎えられるところも含めたドキュメンタリーに着手しているところです」と説明した。