お笑いコンビ・キングコングの西野亮広(40)が製作総指揮、原作、脚本を担当したアニメ映画「映画 えんとつ町のプペル」(広田裕介監督、12月25日公開)ハロウィーンスペシャルイベントが26日、都内の秋葉原UDXシアターで行われた。西野は「絵本の制作からカウントすると、8年になる。映画化になって今日を迎えるまで、いろいろな目にも遭ったし遠回りもしたけど、何も無駄なことはなかった。間違いのないものは出来たので」と胸を張った。

「映画 えんとつ町のプペル」は16年に発売され、累計発行部数50万部を記録。いつも厚い煙に覆われ、空を見上げることを忘れた「えんとつ町」を舞台に、星を信じる少年ルビッチと、ハロウィーンの夜にゴミから生まれたゴミ人間プペルが「星を見つける旅」へと出る物語。

西野は、企画がそもそも映画化を念頭に置いたもので、絵本は作品を周知させるためにスピンオフとして書いたものだと語った。「全7章立ての映画の台本があって。絵本は、えんとつ町があるところからスタートしていて、なぜ4000メートルの崖に囲まれたところに町が出来たか、絵本には書いていない。海に出ることを禁じられていることは絵本には1行しか書いていないが、なぜかは書いていない」と語った。その上で「誰も死なない作品を見に、映画館に行く人がいることは考えられず、まず認知度を上げたいと1、2、5、6、7章をカットしてスピンオフとして出した。そうするしか届け方ががなかった」と続けた。

西野は「今年というのはコロナというのは外せない。頭の上を黒い煙で覆われて見えなくなった世界は、今、僕たちが経験する世界と重なるところがあるなと。その年にくしくも映画化の発表があった」と、コロナ禍との関連性を強調した。

司会の青木源太アナウンサーから、プペルを演じた窪田正孝(31)とルビッチを演じた芦田愛菜(16)を起用した理由を聞かれると、西野は目を見開き、熱く語った。

「それでも(煙に覆われていても)空を見上げる2人のセリフに(観客は今の)20年の体験を重ねるだろうと思った時、ウソになってはいけない。根っからそういう感じの人が良いなと思った。ルビッチはウジウジしているけど、どこかのタイミングで強く言う。芦田さんも言いそうだし、強さを持っている。プペルは異常に純粋。窪田さんはそう。本人の人間性はでかかった」

西野はイベントの最後に「いつ、戻れるのか不安になると、人の心は不安定になる。夢、希望が人間の心に必要なことが証明された。2人の挑戦を見ると、やっちゃおうかなと思える作品になっている」と、コロナ禍の今こそ、必要な作品だと強調した。

アニメーションの製作は、人気アニメ製作会社のSTUDIO4℃が担当。オープニング主題歌は、HYDEが映画のために新たにアレンジを加えた「HALLOWEEN PARTY-プペル Ver.-」が選ばれた。