漫才日本一決定トーナメント「M-1グランプリ2020」の決勝が20日(午後6時34分、テレビ朝日系で生放送)行われる。

過去最多5081組の中から準決勝を勝ち上がった9組と決勝当日の敗者復活戦で勝ち上がった1組の計10組で争う。

日刊スポーツ東京本社のお笑い担当・小谷野俊哉記者は2日の準決勝を完全チェック。“現存する貴重な天然物のおバカ”長谷川雅紀(49)と“ミリ単位の正確なツッコミ”渡辺隆(42)の錦鯉を本命に指名した。昨年ミルクボーイの優勝を見事的中させた大阪日刊のお笑い担当・星名希実記者の予想は19日に掲載します。

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<優勝予想>

◎本命 錦鯉

○対抗 マヂカルラブリー

★大穴 見取り図

<敗者復活予想>

ぺこぱ    

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新型コロナウイルス感染拡大で笑えない1年をすごした日本国民を、最後に笑かしてくれるのは天然熟成の“おバカ”雅紀を擁する錦鯉だ。ちなみに記者は、準決勝敗退、敗者復活もならなかった16年のM-1グランプリで錦鯉を堂々の本命◎に推した。

あれから4年、錦鯉の優勝する全てのバカバカしい条件がそろった。コロナ禍でテレビ、YouTubeを見まくった日本国民は、上手なお笑いに飽きている。そして「GO TO」なのか「GO&STOP」なのか、ワケの分からない世相の中、真面目に考えることに嫌悪感さえ抱き始めている。

そこで、日本国民を救ってくれるのが錦鯉の雅紀、49歳だ。近頃のお笑い芸人さんは、しっかりした人が多い。ちゃんと学校を卒業して、親の許しを得て、学費を納め、養成所に通い、お笑いスキルを学んでいる。

だが、ちょっと待て。お笑い芸人に本来、求められるのは非日常の住人としての存在感だ。お笑いをやっていなかったら、生きていけない、存在できないと思うほどの面白さ、バカバカしさだ。

平成の時代の初めに記者として、ラッキーなことに松村邦洋(53)江頭2:50(55)という極上の“天然物”に巡りあった。

そして今、長年、お笑い界の沼深く生息してきたのが、錦鯉の雅紀だ。芸風は、はっきり言って“バカ”。理屈なしに笑える。普通のお笑い芸人志望の若者たちが養成所に通っているであろう成人式前後。「二十歳(はたち)の時に童貞で札幌ススキノでホストをやっていた」という経歴だけでもM-1王者にふさわしい。

そして渡辺。雅紀の“ハゲ頭”をピシャリとたたくのだが、このご時世では、そのツッコミも“暴力”と取られかねない。まさに笑いとバイオレンスのはざまでミリ単位、いや0・1ミリ単位で5本の指でスパイクすることで、世のお笑い好きの思いを昇華させている。

ちなみに決勝進出者で、いまだにバイトをしているのは錦鯉の2人だけ。雅紀は水道料金の徴収、渡辺は市場で野菜の仕事。こんな2人に優勝賞金1000万円の夢をかなえてやりたい。

対抗○はマヂカルラブリー。個人的な準決勝の採点では、最高得点を記録した。

3月にR-1グランプリに優勝しながら、コロナ禍で割を食った男、野田クリスタル(34)。17年M-1グランプリで審査員の上沼恵美子(65)に酷評されて最下位に終わった雪辱を果たしてほしい。翌18の年M-1準決勝敗退で臨んだ、敗者復活の時に野田が叫んだ「恵美ちゃん、待っててね~」がついに実現した。年に1度の大会だからこそ、ポッと出ではなく因縁持ったコンビに頑張ってほしい。

大穴★の見取り図は実績、人気とも優勝の資格は十分。16年の銀シャリから続いてきた“漫才がうまい関西弁のコンビが優勝する”という系譜に沿ったコンビにも思えるがひと味違う。ツッコミの盛山晋太郎(34)の泥臭さが、関東もんにも味わえるように変化してきた。

あとはウエストランドとニューヨークに期待する。

敗者復活はインディアンスと学天即、ぺこぱの三つどもえと見る。昨年の決勝3位で注目を浴びたぺこぱが、知名度で勝ち抜くかと(笑い)。

【小谷野俊哉】

▽M1決勝進出コンビ

◆アキナ(吉本興業)

◆マヂカルラブリー(吉本興業)

◆見取り図(吉本興業)

◆錦鯉(SMA)

◆ニューヨーク(吉本興業)

◆おいでやすこが(吉本興業)

◆オズワルド(吉本興業)

◆東京ホテイソン(グレープカンパニー)

◆ウエストランド(タイタン)

◆敗者復活1組