アジア系の住民を標的にした事件が相次いでいる米カリフォルニア州では、旧正月の連休を迎え、ロサンゼルスやサンフランシスコなど大都市のアジア系コミュニティーで同様の犯罪に神経をとがらせている。

同州では先月末に北部オークランドの中華街で91歳のアジア系米国人男性が背後から突然何者かに突き飛ばされて死亡しているほか、サンフランシスコでも同様の事件が起きている。また、今月8日にはサンノゼの日本人街にある日系1世をたたえて岡山市から贈られた記念碑がいたずら書きされる事件も発生。全米最大のアジア系コミュニティーを抱えるカリフォルニア州では住民に警戒を強めるよう呼び掛けている。

ロサンゼルスでも新型コロナウイルス感染拡大の影響で昨夏からアジア系の住民に対する差別や、日本人が経営する店舗が爆破予告を受けるなどヘイトクライム(憎悪犯罪)が急増。オークランドとサンフランシスコの事件を受けてハリウッドで活躍するアジア系俳優が繰り返されるヘイトクライムに立ち向かうために懸賞金を出すとSNSに投稿していた。

ドラマ「LOST」や「HAWAII FIVE-0」で知られる韓国出身の俳優ダニエル・デイ・キム(52)と中国系米国人で映画「香港警察」(2004年)などで知られるダニエル・ウー(46)は、25万ドルの懸賞金を出して情報提供を呼びかけ、その後の犯人逮捕につながった。

両者はコロナ禍で繰り返され、急増するアジア系ヘイトクライムは限界を超えたと話しており、米国に住む大勢のアジア系米国人のために立ち上がらなければならないと訴える投稿は拡散されて反響を呼んでいた。

トランプ前大統領が新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と繰り返し呼んだことをきっかけに、アジア系への差別が増長したといわれており、FOXニュースによるとパンデミックが始まって以降、米国ではアジア系を標的にした犯罪が3000件近く起きているという。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)