3期12年の千葉県知事を終えたタレント森田健作(71)が6日、古巣の大手芸能事務所サンミュージックの最高顧問に就任した。

この日、都内にある同事務所で社員を前にあいさつ。同社は今月1日付で、お笑いコンビ、ブッチャーブラザーズのリッキーこと岡博之(62)が副社長に就任したばかり。リッキーらは森田の付き人を務めていたこともある。森田は社員を前に「コロナ禍でも頑張れば必ず報われる。努力すれば、副社長にもなれるんだ」とエールを送ったという。

知事を辞め「まずは休みたい。支えてくれた妻を慰労したい」と話す森田だったが、この日午後には、都内のスタジオで、新しくスタートするラジオのレギュラー番組の収録に臨んだ。FM NACK5「森田健作 青春もぎたて、朝一番!」(11日スタート、日曜午前5時30分)とニッポン放送「森田健作 青春の勲章はくじけない心」(11日スタート、日曜午後5時30分)。「青春もぎたて」には盟友の俳優京本政樹(62)がゲストとして駆けつけた。

京本は「弟分として、第1回のゲストに呼ばれたのはうれしい。にぎやかな人が芸能界に復帰してくれてたのもしい。役者の森田健作がみたい」と言えば、森田もまんざらではない様子。出演作の映画「砂の器」を最近、CSテレビで見たといい、京本が「今なら丹波哲郎さんの役ができますよ」と振られると、森田は「いやいやそれは。でも、あの作品はみた年齢によって感じ方の変わる作品だ」と笑顔だった。

12年間務めた県知事については「身の丈以上の仕事をやらせてもらえた。県庁の職員が本当によくやってくれた」。800円に値下げした通行料金が続いているアクアラインには「値下げができないなら、ぶっ壊してくれって言ったんだ。でも、森元首相、麻生副総理、菅首相には本当に助けられた。木更津に33年ぶりに小学校ができたと聞いた時はうれしかった」と振り返った。

もっとも、19年11月、台風15号が県内を直撃した際の不手際への反省も忘れない。「千葉は災害が比較的少ない地域だった。知事、県庁職員にすきがあったのも事実。その責任は森田にある。職員には、同じテツは踏むなと言いました。だから、その後は万全の災害対策を組みました」。

参院議員に衆院議員、知事を経験した希有(けう)な存在だ。そのため、情報番組のコメンテーターのオファーも予想される。ただ、森田は以前から「テレビに出てコロナを語れば仕事をしているわけではない。頑張っていない知事なんていませんよ」が持論だった。それだけに「おもしろおかしく批判することだけはやりたくありません。批判をするなというのではなく、きちんと正しいことを伝えたい。コロナ禍で医療体制を充実させろとみなさん言われますが、現場ではできる限りのことはやっています。暴露話はしませんが、自由に発言できるようになったら、きちんとした事実を国民のみなさんにお伝えしたいとは思います」と話した。

森田は今の日本社会が劇場型すぎるのではないかと指摘する。「県庁職員にも話したのですが、ぼたん雪はすぐ積もり真っ白になるけど翌朝にはきれいになくなっている。粉雪は積もらないけど、夜中にしんしんと降り、翌朝は銀世界になっている。だから、粉雪のような仕事をしようと言ってきました。劇場型は何も残りません」と訴えた。【竹村章】

○…ニッポン放送「森田健作 青春の勲章はくじけない心」は、森田がこれまでつづってきた格言をもとにした番組。学生時代から経験に基づいた格言を日記帳に書き留めており、それは450本にも上るという。「人の受け売りではなく、すべて自分の体験で感じたことだけ」と話す、“元気の源”“人生のサプリ”だという格言を毎回ピックアップするという。