米国のスティーブン・スピルバーグ監督(74)が率いる映画・テレビ番組の制作会社アンブリン・パートナーズが21日、動画配信大手のネットフリックスと年に複数の映画を制作する契約を結んだことが明らかになった。

契約は複数年に及び、少なくとも年2本の作品を制作することになると米バラエティー誌は伝えているが、金額など詳細については明らかにされていない。競合するアマゾンは5月に人気スパイ映画「007」シリーズなどを手掛ける大手映画スタジオMGMを買収しており、競争が激化する市場でヒットメーカーとタッグを組むことで独自作品の配信で差別化を図って会員拡大を狙う目的がある。

 

スピルバーグ監督は2019年に「いくつかの劇場で1週間程度の期間しか上映されない映画に、アカデミー賞のノミネート資格を与えるべきではない」と語り、ネットフリックスなど動画配信会社の作品をアカデミー賞から排除するよう求め、「動画配信サービスの作品は映画ではない」発言で物議を醸した過去がある。

 

そんなスピルバーグ監督は、「新しい物語を、新しい方法で視聴者に届ける素晴らしい機会」とコメントしている。ネットフリックスも、「彼の映画史の一端を担えることを光栄に思う」と述べている。

 

アンブリンは今年のアカデミー賞で6部門にノミネートされたネットフリックス映画「シカゴ7裁判」を手掛けている。今後の配信作でスピルバーグ監督自身がメガホンを取るかどうかは不明だが、引き続きユニバーサル・ピクチャーズにも作品を提供していくとバラエティー誌は伝えている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)