台湾を中心に活動し、アジアで注目を集めている、歌手で俳優のYU(26)が14日、初めて作詞作曲したシングル「邃宇Dark wings」を配信した。このほど、台湾から日刊スポーツのリモートインタビューに応じた。

YUは愛知県出身で、日本人の父と台湾出身の母を持ち、大学進学を機に台湾へ移住した。18年に台湾の芸能事務所の研修生となり、20年8月にミニアルバムで歌手デビューし、台湾大手通販サイト・博客來CDリリースで1位を獲得。21年4月に発売した写真集は売上2万冊以上と、人気を博している。

先月、日本でも活動を本格的に開始することを発表した。YUは「日本でお仕事することは、デビューする前からずっと目標にしていました。目標が1つかなったというか、それに向けて今どんなお仕事ができるのか、僕がどこまでできるのか。そういう意味で、自分にも期待しています」と改めて、心境を語った。

今作では自身の経験を元に作詞作曲した、2曲を配信リリース。曲は、今年の4月から約2カ月間で制作したという。

1曲目「懷疑愛/Doubt about love」は、反抗期に世界や人からの愛、そして自分が人に対する愛を疑っていた14歳の少年の心境を表現した。

「僕が日本を離れた14歳のころに感じていた、暗い部分というか。14歳なりにいろいろ考えて、自分の中で消化して、新しいステップに行かなければいけない時に、愛というものに対して自分の中でいろんな思いがこみ上げてきて。その愛というのは家族、友達だったり、いろいろ感じた時期があって。若いなりに、自分のなかでモヤモヤしていたものから抜け出したい、みたいな思いを込めた曲です」。

2曲目「天使烏鴉/Fallen angel」は、誤解され傷つけられたエンゼルが、黒い羽が生えてカラスになったストーリーを描いた。楽曲制作では、台湾に来てから思ったことをつづっているノートを参考にしたという。

「僕が台湾に来てからデビューするまでの間、自分の無力さに面と向かった時に『どうしたらいいんだろう。何ができるんだろう』とか、何もできないなりに、何か探している。けど、力がないからどう羽ばたいたらいいか、どうあがいたらいいかもわからない。その葛藤がすごく出ていると思います」と紹介した。

日本在住時から歌手に憧れを抱き、芸能界を目指した。「カバーアルバムが好きでした。いろんなライブを見た時に、『こんなに人の心を揺さぶれるんだ』とひかれました。『自分もできるんじゃないか』と思ったのが芸能界を目指したきっかけです」。

台湾に移住後も、さまざまな困難に直面した。その思いを今作に込めた。「この2曲は、僕の中では良い思い出ではない部分から制作しました。それに向き合うこと自体、考えるだけで憂鬱(ゆううつ)になったりしましたが、改めて曲にしてみると、今だからこそ自分をわかってあげられたような感覚になりました」。

日本を最後に訪れたのは、19年12月だという。日本でやってみたいことについて「東京に行きたいです」と回答。「記憶にある中で、2回しか行ったことがないです。いろんなところに行ってみたいです。原宿、六本木、銀座をよく聞くので『どんなところなんやろう』って思います。東京に行くだけで、すごく楽しめると思います」と笑顔で話した。

他にもイベントを通して、ファンとコミュニケーションをとりたいという。ファンに向けて「自分の中で感慨深い思い出や、体験したことを元に書いた歌詞です。僕みたいに、人はネガティブになったり、内面的になったり、人に話せなかったりする部分が絶対にあると思います。この曲を通して、何かエネルギーを与えられたらいいなと思います」と力を込めた。

憧れの人物としてはグローバルに活躍する、ディーン・フジオカ(41)ギタリストのMIYAVI(40)を挙げた。今後の夢について「たくさんの作品に携わっていきたいですね。僕自身、何がどこまでできるかというのも、自分と向き合っていくことなので。夢ですか…(笑い)。ディーンさん、MIYAVIさん、菅田将暉さん、佐藤健さんと、グローバルな作品で共演できたら。夢なのかも知れませんね」。