第22回東京フィルメックス授賞式が7日、東京・有楽町朝日ホールで行われ、ジョージアのアレクサンドレ・コベリゼ監督(37)のドイツ、ジョージア合作映画「見上げた空に何が見える?」と、タイのジャッカワーン・ニンタムロン監督(44)のタイ、フランス、オランダ、シンガポール合作映画「時の解剖学」の2本が最優秀作品賞に選ばれた。

「見上げた空に何が見える?」は、学生審査員賞も受賞し2冠となった。コベリゼ監督はビデオレターを寄せ「この素晴らしい賞を、本当にありがとうございます。この映画は私にとって、孤独で長い道のりでした。日本にぜひ行きたいんですけど、今回、こういう状況(コロナ禍)なので。最後に私の長い孤独の旅が、この素晴らしい賞をいただけたことで終わりになったのではないかと感じております」と受賞の喜びを語った。

ただ、場所や日時など詳細は不明ながら、ビデオレターは現地時間の夜に撮影したようで、どこかの街の夜景から室内に切り替わっても真っ暗なままで、コベリゼ監督の顔も、いまいち判別のつかない映像になってしまっていた。司会が「暗くて何だか、よく分かりませんでしたけど、ここにいるよ、という感じで映してくださいました」と苦笑いすると、会場の観客の間からも苦笑が漏れた。集まった取材陣も、ステージ上のスクリーンを見上げてカメラのシャッターを切っても、真っ暗で「見上げた空に何が見える?」という題名とは裏腹に監督の顔もよく見えない写真しか撮れない状況だった。

国際審査委員長の諏訪敦彦監督(61)は講評の中で、コンペティション部門10本から2本、最優秀作品賞を選んだことについて「少々、異例の結果となりました」と語った。その上で「2本はそれぞれ非常にユニークで映画の未来を開いてくれていると感じました。どちらも優劣つけがたかった、同等に評価したという結果ではありません。審査員それぞれ、全く別の視点から見いだされた。2つの違うアングルを、そのまま皆さんに提示しようと判断させていただいた」と説明した。