米俳優アレック・ボールドウィン(63)主演映画「Rust」の撮影現場で先月21日に起きた銃の誤射で撮影監督が死亡し、ジョエル・ソウザ監督が負傷した事件を巡り、ついに初の民事訴訟が起こされた。

複数の米メディアによると、訴えを起こしたのは同作で照明責任者を務めたサージ・スべトノイ氏で、被告は知らずに実弾入りの銃を発射した同作のプロデューサーでもあるボールドウィン、武器担当責任者のハンナ・リードさん、弾薬が入っていない安全なコールドガンだと告げてボールドウィンに銃を手渡した助監督のデイブ・ホールズ氏と制作会社などで、事故は「過失と怠慢によって起きた」と主張している。

スベトノイ氏によると、亡くなったハリーナ・ハッチンズさんとは多くの作品で一緒に仕事をしてきた仲間であり、同時に共にウクライナ出身の移民であることから休暇を一緒に過ごすなど5年以上にわたって仲の良い友人でもあったという。事故が起きた時、同氏はハッチンズさんのすぐ近くにいて銃が発射された直後に「圧縮空気のようなものを感じ、奇妙で恐ろしい音を聞いた」と述べ、「死んでいたのは自分かもしれない」と精神的苦痛を感じていると主張。また、訴状では事故の時に顔に火薬がかかるのを感じ、苦しむハッチンズさんを助けようと抱きかかえた時に自身の手が血まみれになったと事故の状況も生々しく述べている。

ビバリーヒルズのホテルで記者会見した同氏は、事故の数日前の撮影休憩中に銃が誰でも手にできる状態で放置されていたのを目撃していたと語り、「自分ははめられた」と主張するリードさんが適切に銃の管理を行っていなかったと非難。実弾を装てんする必要も現場に存在すべき理由もないと語る一方、ホールズ氏もボールドウィンも銃の中身を再度確認すべきだったと話し、銃口を人に向けないなど本物の銃と同様に扱うべきだったと撃ったボールドウィンの責任も追及している。(ロサンゼルス=千歳香奈子)