師走の風物詩、京都・南座での「吉例顔見世興行」が2日、初日を迎えた。昨年11月に88歳で亡くなった坂田藤十郎さんをしのび、第1部の幕開けで孫の中村壱太郎、中村虎之介が出演して「晒三番叟(さらしさんばそう)」を上演。壱太郎は如月姫を勤めた。続く「曽根崎心中」では、藤十郎さんの当たり役だったお初を次男の中村扇雀、相手役の徳兵衛を長男中村鴈治郎が演じた。

公演は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、昨年に続き、開催期間を短縮し、千秋楽は23日。3部制各2演目となり、各部の上演時間は2時間となっている。

2部は片岡仁左衛門が出演。3部は11月28日に77歳で亡くなった中村吉右衛門さんのおいで、「鬼平犯科帳」を継ぐ松本幸四郎が、悲しみをこらえ、仁左衛門監修の「銀杏鶴玉章封裏(いちょうづるふみのふうじめ)」から「雁(かり)のたより」で髪結三二五郎七、「蜘蛛絲梓弦(くものいとあずさのゆみはり)」で源頼光を演じた。

また、感染対策で、チケット販売は約1080席のうち約6割の販売に抑えられ、俳優の屋号を呼び掛ける大向こうは禁止となった。