米俳優アレック・ボールドウィン(63)が2日、米ABCテレビで放送された同局の看板キャスター、ジョージ・ステファノプロス氏との特別インタビューに登場し、米映画「Rust」の撮影現場で10月に起きた銃の誤射で撮影監督のハリナ・ハッチンスさんが亡くなった事件について初めて語り、「誰かに責任があることは間違いないが、それは私ではない」と自らの責任を否定した。

前日に公開された予告編で、「私は引き金を引いていない」と語ったことが注目を集めていたボールドウィンだが、1時間の番組では時折涙を見せ、言葉を詰まらせながらも「私は引き金に指はかけていない」「武器担当を信頼していたから、自身で銃の中身を確認しなかった」「実弾が込められているとは考えてもいなかった」と偶発的な事故であったことを強調した。

助監督から安全を意味する「コールドガン」であると告げられて渡された銃に実弾が込められていたことについてはまったく知らなかったというボールドウィンは、リハーサルでハッチンスさんの指示で銃を構えてカメラに映る角度の調整をしていたと明かし、「何度も確認した後、ハンマーを離した瞬間に銃が発射された。私は誰かに銃を向けて引き金を引くことは絶対にしない」と事故当時の状況を説明。ハッチンスさんもボールドウィンと同様に銃は空だと思っていたという。実弾は現場にあるはずはなく、銃は空だと思っていたため、ハッチンスさんが倒れた時は「気を失ったか、心臓発作を起こしたのだろうと思った」と語り、警察の事情聴取を終えた後で初めて実弾が装填(そうてん)されていたことを知らされたと明かした。実弾がどのように持ち込まれたのかは分からないと述べる一方、「誰かが銃に実弾を込めたことは間違いない。その誰かに責任がある。私ではない。もしも私に責任があるなら、私は自殺していたかもしれない」と語った。

一方、事件は現在も捜査中で、実弾が持ち込まれた経緯や誰が弾を込めたのかは分かっていない中でインタビューを受けた理由について冒頭で、「私が被害者だと思われることは避けたかった。実際に被害を受けて亡くなった人と負傷した人がいる」とコメントし、亡くなったハッチンスさんの9歳の息子が母親を失ったという事実は変えられないと涙を見せた。しかし、「罪悪感はあるか?」の問いには、「ない」と返答。SNSなどで「殺人者」呼ばわりされるなどいわれもない批判をされていることはつらいと語り、トランプ前大統領までもが「故意に実弾を装填したのかもしれない」と発言したことはあり得ないことだと批判した。(ロサンゼルス=千歳香奈子)