武田梨奈(30)が主演するBSテレ東ドラマ「ワカコ酒 Season6」(月曜深夜0時)が10日にスタートする。

初回放送を前にこのほど、日刊スポーツの取材に応じて新年の飛躍を誓った。15年にスタートし、テレビ東京系「孤独のグルメ」に次ぐ長寿グルメドラマとなった「ワカコ酒」シリーズの長期化や、熱望してきた海外映画への強い意欲も語った。

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「酒飲みの舌」を持ち、飲食店をめぐっては女ひとり酒を堪能する、26歳のOL村崎ワカコを演じ始めたのは23歳。当時は飲まなかった酒の飲み方を先輩に学び、背伸びして演じていたが、今は「前向きなワカコを演じ、落ち込んでもセリフを思い出し前向きになれる。特別な存在」と思えるようになった。

一昨年の前シリーズは1回目の緊急事態宣言下だった同4月に放送。架空の物語のためコロナ禍を描くことはないが、作品のウリとなっている「実在の飲食店での撮影」は不確定要素もあり、新久千映氏の原作漫画にある家飲みも描かれ、劇中で料理も披露した。以前はしなかった料理を始め、最近は日常のことも自分で全部するようになり「お芝居が自分の中に入り込みやすくなった」という。

日常を大切にするきっかけになったのは、幼少期から大ファンで前シリーズで初共演した武田鉄矢(72)の「他の若い女優さんにはない暮らしのにおいがする」という言葉だった。「他の女優さんに比べて私は華がない。地味と言われてコンプレックスだったんですけど、すごい強みになることもあると思えて、救われました」。

軸足を置く映画でも、海外作品への出演を熱望し続けてきたが、世界各国の人気俳優が参加する香港映画「重慶大厦」含め数本の出演が内定している。「以前はオーディションのお誘いだったのが、こういう役というオファーも幾つかあることも変化」と手応えを口にした。また吉村界人とともに企画・主演し一昨年に撮影した「ジャパニーズスタイル」の公開に向け、自ら配給に動いている。

「モヤモヤが消え、やりますと堂々と言えるようになった。『ワカコ酒』も『孤独のグルメ』を超えるという意識ではなく、お酒を愛する人、飲食店の人に敬意を持ち、他にない作品にしたい」。武田梨奈は30歳の今が一番、輝いている。【村上幸将】

◆武田梨奈(たけだ・りな)1991年(平3)6月15日、神奈川県生まれ。10歳で始めた琉球少林流空手道月心会で黒帯取得。07年に映画「こわい童謡」で女優デビュー。08年の映画「ハイキック・ガール!」で映画初主演。15年に日本映画プロフェッショナル大賞新進女優賞受賞。