21年1月に直腸がんの手術を受け、治療中と公表した音楽家の坂本龍一(69)が、自ら13年に編成した「東北ユースオーケストラ」が3月に3年ぶりに開催する公演に出演する方向であることが分かった。15日、同オーケストラが公式サイトで発表した。

同オーケストラは東日本大震災の被災地岩手、宮城、福島3県の小、中、高、大学生が中心メンバー。坂本は音楽監督、ピアノとして出演(予定)という形で出演者の筆頭に名を連ねている。同オーケストラは「また坂本龍一代表・監督は現在も病気療養中の為、出演できない可能性もございます。予めご了承ください」(原文のまま)と付記した。

東北ユースオーケストラは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で20年、21年と2年連続で演奏会を中止してきたが、感染予防対策ガイドラインに沿い万全の対策のもとで3年ぶりの演奏会実施に向けて準備を進めているという。坂本のほか、同23日の宮城公演、同24日の福島公演、同26日の東京公演には、16年3月の東京公演以降、出演を続ける吉永小百合(76)が朗読で参加することも決定。また初日となる3月22日の岩手公演には、13年のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」の出演を機に、岩手とのゆかりが深い、のん(28)が出演する。

今回の公演では、20年の公演で演奏予定だった坂本の書き下ろしの新曲「いま時間が傾いて」の世界初演、さらに311以降の自然災害の被災地からなる「つながる合唱団」とベートーベンの第九を披露する。

坂本は昨年1月に公式サイトで「2014年に患いました中咽頭がんは時間をかけての治療の末無事に克服しておりましたが、昨年新たに直腸がんが見つかりました。幸いにも手術は成功し、現在順調に治療を重ねております」と所属事務所などの名義で報告。坂本自身も「大いに落胆しましたが、すばらしい先生方との出会いもあり、無事手術を終えて現在は治療に励んでいます」「このような事情のうえコロナ禍もあり、長距離の移動がともなう仕事は困難になりますが、治療を受けながら出来る範囲で仕事を続けていくつもりです」とコメントを寄せ、「これからは『がんと生きる』ことになります。もう少しだけ音楽を作りたいと思っていますので、みなさまに見守っていただけたら幸です」と活動に意欲をみせていた。