俳優原沢侑高(25)が来月8日公開の映画「今はちょっと、ついてないだけ」(柴山健次監督)に出演する。玉山鉄二(41)演じる主人公のカメラマン立花浩樹の青年期を演じる。秘境に出掛けて自然写真を撮り、マスコミのスターとして取り上げられる役だ。

「時代に作られたスターだから、伊豆大島ロケの現場ではみんなちやほや持ち上げてくれる(笑い)。柴山監督に『僕、これでいいんですか。僕も走り回って、何か運んだりしたいんです』と。監督からは『いいんだ、原沢君はそれで。でも、その謙虚な気持ち忘れないで。それがこの役につながると思うから』と言っていただきました」と振り返る。

玉山とは1シーンだけ一緒になった。「基本的に同じシーンはないんですけど、1シーンだけ玉山さんが振り返ったら、若き日の僕がいて振り返っている。その撮影で丸々1日、一緒でした。本当に優しい人で、すごくいろいろな話をしてくれました。玉山さんが出演していた『百獣戦隊ガオレンジャー』(01~02年)が幼稚園の時で、ドンピシャな世代ですから。その思いを伝えたら、あの時の撮影はこうだったとか話してくれました」と明かした。

身長188センチ。兄はリオ五輪柔道100キロ超級銀メダルで、東京五輪にも出場した原沢久喜(29)だ。「下関の出身で、子供の頃からデカかったですね。中学3年で183センチとかありましたから」。当然のごとく、幼稚園から柔道を始め、県大会で優勝するほどだったが、小学3年でやめてしまう。「兄貴とかが中学に行くようになって、1人で道場に通うのが寂しくなったんです。友達のいる野球に走ったんです。でも、僕、野球が下手だったんです。グローブ持って外野守ってるんですけど、雲をながめてきれいだなとか考えていたらボールが飛んできていた(笑い)。高校進学を機に、また柔道に戻りました」と振り返る。

役者を志したのは中学3年生の頃。「きっかけは、僕、地元でちょっと目立ってたんですね。クラスでちょっと変なギャグをして受けない子、あれです(笑い)。応援団長やってて、髪をリーゼントにして長ラン着てフレーフレーみたいにやってたら、すごいモテまして。そういうのが自信になって、東京行って役者で一旗あげる的な感じで」。

俳優になることを母親に明かすと反対された。「それで高校時代は時給680円の焼き肉店でアルバイトして、100万円ためて『母ちゃん、これが俺の覚悟だ』と。それで、高校卒業と同時に上京。電気工事の仕事をしながら、俳優のワークショップに行ったりしていました。でも、ちょっと違うなと思って、1年後に俳優座研究所を受けて入りました」。

俳優座で1年間、みっちりと基礎を学んで、17年に現在も所属する浅井企画入り。俳優になっても、兄の久喜のことを聞かれることが多い。「嫌じゃないんですよね。兄貴のことが多分好きというか、仲もいいし、いちファンでもあるんですよ。柔道も好きだし、兄貴の人生も尊敬できるなと思う」と話している。

久喜からは「最高の準備をすれば、最高の結果が出る」という言葉をもらった。「真面目な人なんで、よくそういう話をします。僕がオーディションを受けたりする時も、最高の準備をして最高の結果が出るのは当たり前なんだ。なら準備の質を、どう捉えるのかっていうのを話したことあります。緊張は絶対するから、その上で100%のパフォーマンスが出来るように準備しろと。これは柔道にも、芝居にも通じることだと思います」。

インタビュー時の髪の毛は金髪。「今、撮影している作品がヤンキー、半グレの役。悪役というか、主人公の敵になる役をちょっと極めていきたいなと思ってます。やはり体がデカいんで、“圧のある役”を大事にしていきたいですね」。

憧れの俳優は08年に亡くなった緒形拳さん(享年71)。「ひと言で言うと目ですね。映画『鬼畜』を見た時に、こんな役者がいるんだっていうぐらい衝撃でした。ああいう目だけでも芝居ができる役者になりたいなと思っています」。

大器が、ゆっくりと、だが確実に成長している。【小谷野俊哉】

◆原沢侑高(はらさわ・ゆたか)1996年(平8)12月17日、山口県下関市生まれ。16年俳優座養成所。17年浅井企画入り。18年7月「ミスター・ジャパン」ファイナリスト、松室政哉「衝撃のファンファーレ」のMV。映画は19年「タロウのバカ」、20「コンフィデンスマンJPプリンセス編」など。ドラマは18年フジ「絶対零度」20年フジ「隕石家族」など。特技は柔道2段のほか野球。水泳、詩吟など。身長188センチ、75キロ。血液型A。