日本を代表する国民的歌手・美空ひばりさんの生誕85周年となる今年、貴重なお宝映像と音源が5、6月の2カ月連続で発売されることが20日、分かった。

誕生日の5月29日にはDVDボックス「美空ひばり 歌姫が抱いた夢」(4枚組)が発売される。

目玉の1つは70年8月に行ったブラジル公演で歌唱した全28曲の収録。これまで、数曲を収録した作品は商品化されていたが完全版は初めて。

ひばりさんの長男の加藤和也氏(50)は「母はこの公演に強い思い入れがありました。当時、多忙を極めていた母に、ブラジルから公演の要請が来ていたことをスタッフは2年ほど伝えられずにいました。まだ、片道3日間かかっていた時代で仕方のないことでした。ところがこの話がたまたま耳に入った母は烈火のごとく怒ったといいます。母にしては珍しいことでした。『私の歌を聴きたい人がいればどこへでも行きます。特にブラジルはご苦労された方々が待っているんです。すぐにスケジュールを空けてください』。この事はスタッフの語り草になっていました」とコメントした。

生涯で唯一の野外コンサート「佐久音楽祭」の映像も入っている。開催した88年8月21日は、体調不良からの全快をアピールした東京ドームの“不死鳥コンサート”から約4カ月後。当時、精力的に仕事をこなしてはいたが、実は階段を1人で上ることさえ困難な体調の日もあった中での熱唱12曲だ。

そして6月24日の命日にはCD「美空ひばり Symphonic Works~不死鳥再び」が発売される。ひばりさんの歌声とオーケストラとの初コラボレーションとなる。

生前のひばりさんが「オペラ歌手になりたかった」と語っていたことを記憶していた関係者が、その夢をかなえようと企画。所属レコード会社「コロムビア」に残っていたテープを丹念に調べ、保存状況などの良い10曲を厳選。日本最古の歴史を持つオーケストラ「東京フィルハーモニー交響楽団」の演奏にボーカル音源を乗せた。電子楽器は一切使用せず、ひばりさんの熱唱がファンの耳と心にシンプルに響くことにこだわった。

加藤氏は「東フィルの皆さんの同録に、母の声のみの音源が合わさった瞬間の感動は忘れられません。今後の美空ひばりの音楽に新しい可能性を見せていただいた記念の作品となりました」と感謝した。

昭和の歌謡史を彩った歌姫の生誕85年の節目。多くのファンを楽しませ、力づけてくれた歌声と映像が令和の新時代によみがえる。