昨年11月22日に肺がんのため74歳で亡くなった作詞家喜多條忠（きたじょう・まこと）さんの「喜多條忠さんを偲び送る会」が22日、東京・平河町の海運クラブで行われ、約500人が集まった。

喜多條さんは、700曲以上を世に送りだしたヒットメーカー。早大在学中から文化放送でラジオの放送作家として活躍。かぐや姫の73年「神田川」から始まる「赤ちょうちん」「妹」の3部作、梓みちよ「メランコリー」、キャンディーズ「やさしい悪魔」、柏原芳恵「ハロー・グッバイ」などフォーク、ポップスでヒットを連発した。

36歳の時に「雑巾から絞り出すような生活がつらい」と作詞家としての活動を離れ、ボートレースなどのライターとして活躍。還暦を機に「俺たち団塊世代の曲をかけるかもしれない」と演歌で作詞家として復帰。17年には伍代夏子が歌った「肱川あらし」で「日本作詩大賞」を受賞している。

実行委員長を務めた日本作詞家協会の石原信一会長は「生活に寄り添い、優しさと独特の感性で時代を彩った。時代を切り開くなにかを作詞に求めて『神田川』で若者の心をわしづかみにしたのが73年。その翌年に作詞家デビューした私にとっては、1歳年上の兄のような存在で、ずっと後を追ってきた」としのんだ。

そして「よく早朝にゴルフの打ちっ放しに行った帰りがけに電話をもらった。今日、この日に電話したら、喜多條さんはなんと応えてくれるんでしょうか」と話した。