米俳優アレック・ボールドウィン(64)が主演する映画「ラスト」のリハーサルで小道具の銃を誤射して撮影監督が死亡した事故を捜査する米ニューメキシコ州サンタフェ郡の保安官事務所が25日、事故直前に撮影されたとみられるボールドウィンがカメラに銃口を向ける姿や事故直後の現場の様子を撮影した映像などを公開した。

ボールドウィンは実弾が装てんされているとは知らずに安全だと告げられた小道具の銃を使用し、昨年10月に誤射事故を起こしたが、「自分は引き金を引いていない」とインタビューで語って物議を醸していた。現在までの捜査では、どのような経緯で誰が実弾入りの銃を撮影現場に持ち込んだのかは分かっておらず、逮捕者も出ていない。

同保安官事務所は、事故前後に撮影された数十の映像や画像、小道具などの証拠をメディアに公開。その中には、カウボーイに扮(ふん)したボールドウィンが、誤射したとみられる銃を懐から素早く抜いてカメラに向ける様子や、事故後に床に倒れる撮影監督のハリーナ・ハッチンズさんを救急隊員が手当てする様子など生々しい映像も含まれている。また、事故直後にぼうぜんとするボールドウィンの姿や取り調べで「コールドガン(実弾が入っていない安全な銃)のはずだった。何かの罪に問われるのか?」と話す様子、負傷したソウザ監督が病院で「彼女は無事か?」と警察官に聞く様子なども確認できる。

事故を巡ってはボールドウィンら関係者が、遺族やスタッフから損害賠償を求める複数の民事訴訟を起こされている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)