大正製薬「リポビタンD」のCMでお茶の間でも親しまれた、俳優渡辺裕之さんが3日、神奈川県内の自宅で亡くなっていたことが5日、分かった。66歳。

所属事務所は同日、死因が縊死(いし)で家族が発見したと公表。妻の女優原日出子(62)は、ぼうぜん自失の状況だという。葬儀は密葬で執り行う。

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渡辺裕之さんは、肉体派アクション俳優として人気となった。近年は父親役を務めるなど、演技の幅を広げていた。

幼い頃から映画が好きで、俳優を志しバンド活動などをし、拓大商学部経営学科卒業後は、知人の縁で外国人モデルのマネジャー業をした。その中、実家の写真スタジオで宣材写真を撮って営業し、80年「コカ・コーラ」のCMに出演したのが、俳優業に挑む契機となった。

82年には「リポビタンD」のCMに出演。乗馬、スキー、水泳、ゴルフが趣味とスポーツ万能な才能を発揮し、勝野洋とバイクに飛び乗ったり、渓流を下る熱いキャラでブレーク。同年の映画「オン・ザ・ロード」で俳優デビューを果たすと、翌83年には米俳優ピーター・フォンダさん主演の映画「だいじょうぶマイ・フレンド」に出演した。

フジテレビ系で86年から89年まで放送された「愛の嵐」「華の嵐」「夏の嵐」の“嵐3部作”では、端正な顔立ちが人気を集めた。肉体派からイケメン俳優としての魅力を開花させた。

最近は、今年1月公開の「ポプラン」で演じたような、息子を真正面から受け止めるような父親役が増えた。一方で「修羅の世界」では、的場浩司演じる主人公が所属する任侠(にんきょう)団体の組長を演じるなど、若き日の魅力を失ってはいなかった。

根底には、拓大在籍時に腹を決めた俳優業への思いがあったとみられる。78年に卒業も卒業式を欠席し、預かりの形になっていた卒業証書を92年4月に新入生約2500人の前で授与された際「僕は学生時代に自分の道として俳優業をやり始めた」などと語った。

 

◆渡辺裕之(わたなべ・ひろゆき)本名同じ。1955年(昭30)12月9日、茨城県水戸市生まれ。実家はカメラ店とスタジオを営んでいた。07年「劇場版 仮面ライダー電王 俺、誕生!」にシリーズ史上最高齢(当時51歳)の仮面ライダーとして出演。95年の「ガメラ大怪獣空中決戦」に端を発した“平成ガメラシリーズ”、99年「ウルトラマンティガ・ウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア 超時空の大決戦」、01年「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」と特撮への出演も多数。174センチ、血液型B。

 

 

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