タイトルと違ってヒロインにはちっとも「ワル」を感じないが、日本テレビ系のドラマ「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」(水曜夜10時)が面白い。

深見じゅんさんの原作コミックは実は2度目のドラマ化で、30年前の石田ひかり主演版の強烈な印象が記憶に残っている。当時連載中だった原作に忠実に、思えば20歳だった石田が演じたのは酒豪でヘビースモーカー、周囲に「毒」をまき散らしたり、平気でうそ泣きするワルだった。

対して、25歳の今田美桜のニューヒロインは空気の読めないポンコツぶりで周囲をざわつかせるが、一目ぼれしたエリート男性に認められたい一心で大手IT企業で出世を目指す一直線ぶりが分かりやすい。

今も残る「男社会」の嫌な感じを吹き飛ばしながら、決して彼らを否定せず、むしろ背中を押していく姿勢が何とも気持ちいい。「酒豪」の部分は前作と同じだが、今田の「危なっかしい飲みっぷり」も見どころで、父性本能のようなものをくすぐる演出だ。

同じ年にNHKテレビ小説「ひらり」の対照的なヒロインをしれっと演じ分けた石田の「早熟」ぶりが傑出していたことは確かだが、昔の「20歳」はすっかり大人で、今の「25歳」に子供っぽさを感じるのは、こちらが年齢を重ねたからということだろうか。

諸田景子プロデューサーは「30年を経た現代に田中麻理鈴(ヒロイン)がいたらどういうキャラクターなのだろう、と。その積み重ねがたいへんでした」と振り返っている。

男女雇用機会均等法が施行される前の商社を舞台にした前作では、「女性はこうあるべき」という周囲の決めつけへの反発ぶりが壮快で、多くの女性の共感を得たのではないかと思う。

対して今回は、空気を読みすぎて萎縮しがちな現代社会にヒロインが風穴をあけていく痛快さがある。

30年前は倍賞美津子がふんしたヒロインの指南役に江口のりこ。物語のキーマンには、今回もしっかりと「クセ者」が配されている。

石田もやり手の管理職として登場した令和版「悪女」はどう決着していくのだろうか。【相原斎】