演歌歌手松前ひろ子(72)が、新曲「望郷酒がたり/留萌 人情 みなと町」の発売記念イベントを都内で行いました。

夫の作曲家・中村典正さんが19年8月16日に83歳で死去してからもうじき丸3年になります。イベントの日は月命日で「『ママ、いくつになっても頑張れ』と言われている気がします」と涙声でしのんでいました。

松前のいとこにあたる北島三郎が「お前には、中村みたいな無口な男が似合う」と“キューピッド”役となり、1969年(昭44)11月8日に結婚。1男2女の子宝に恵まれました。

松前の言葉で言えば「箸が転んでも自分で拾わない」という中村さん。ですが、子どもができたら「洗濯をやらせてくれ」と懇願したといいいます。松前の両親は北海道からわざわざ上京をし、子育てを手伝いました。でも、中村さんの母親は高齢のために家事の手伝いができない。「だから母の代わりに自分が洗濯をする」と言い出したそうです。「おれがやるけど、おふくろだと思ってくれ。悪いけどやらせてくれ」と。

自分で「こう」と決めたら最後までやり通す。中村さんはそういう一徹な男性でした。子どもの弁当作りも、松前が仕事で不在の時には休まずに行っていました。「高校卒業までやると決めていたようです。でも、下の子どもが卒業をしたら自分の役目は終わったと思ったのか、それからは1回も台所には立ちませんでしたね」。

その一方で、3人の子どもの出産時はすべて仕事相手から誘われてマージャン。松前さんが「そろそろ生まれる。今日くらいは断ってくれないかしら」と頼み込んでも「男には約束がある」のひと言だったそうです。

こういう思い出話をする時の松前は常に涙声。すごく情に厚い、夫への愛にあふれた女性です。【松本久】