NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜午後8時)の脚本を手がける三谷幸喜氏(60)が、このほどオンラインで取材会を行った。小栗旬(39)演じる北条義時の魅力、ラストシーンの構想などを語った。

三谷氏は鎌倉時代の面白さに「神話性」を挙げる。劇中では登場人物たちが占いに翻弄(ほんろう)される姿が描かれ、「神様を身近に感じていたり、神頼みや予言、呪い、夢のお告げに縛られていた人たち。あの時代の話を書くのは面白い。ある意味何でもありだけど、その分人間の持っている根っこの部分がストレートに表現できる」。その中で、現実的な義時が際立つといい「義時はドライで現実的な人。混沌(こんとん)の中に1人だけリアリストがいる。義時を主人公にしたのは正解だった」と話す。

史実をたどるため脚本に大きな筋書きはあるが、メインキャラクターについては長期展望を作っておらず「彼らがその時どう対応するのかを考えながら書いている。最後から逆算して彼らの人生を書くのが嫌なんです」。時に非情な決断をする源頼朝を側で見続け、処世術を身につけていく義時の変化を「ダークサイド」と表現されることもあるが、「ダークサイドに落とそうと思ってそこから書いているわけではなく、(歴史と)同じように義時の人生をたどっていくと、どうしてもそっちに行ってしまう。(26日放送の)25話で義時がホワイトとブラックの間のどこにいるかも分からないし、この後どうなっていくのかも実は分かっていない」と話した。

主演の小栗についても語った。小栗は三谷氏が監督・脚本を務めた15年公開の映画「ギャラクシー街道」に出演。小栗を「共通言語を持っている人」といい、「俳優としての力を感じていたし、『ギャラクシー街道』の時も、僕がやって欲しいことを的確に演じてくださった」と振り返る。今作についても「勝手な思いですけど、小栗さんの新しい代表作になっていると思う。前半よりも後半、年齢を重ねてからの義時の方が、より小栗さんの良さが出てくると思う。その核心は当たっていると思う」と手応えを語った。

物語はいよいよ後半戦となる。これまで04年「新選組!」、16年「真田丸」の脚本を担当したが、ラストシーンの構想については「自分の中で決めていることは、主人公の人生が終わる時が最終回。理想は、主人公が息を引き取った瞬間にドラマ終わること」と話している。