映画「長崎の郵便配達」(川瀬美香監督)舞台あいさつが行われ、川瀬監督が同作への思いを語った。

同作は16年から製作が開始された。

同作は長崎で郵便配達中に被爆し、赤く焼かれた背中をさらして核兵器廃絶を訴え続けた谷口稜曄(すみてる)氏の半生を描いたノンフィクション小説「THE POSTMAN OF NAGASAKI」が原作。川瀬監督は「14年に稜曄さんと初めて会ったんですが、映画にする勇気がなく、本が再出版されることに走り回っていました」と当時を振り返った。

原作者の長女で女優のイザベル・タウンゼントも出席。川瀬監督は映画を作る覚悟をして良かったといい「イザベルさんに会ったのは16年。こういう景色を見ると、あの時勇気を出して良かったと思います。スミテルさんとピーターさんがどこかで見てくれているんじゃないかと思うと心強い。小さな映画ですが、大きく育っていくように願っています」と笑顔を見せた。

イベントでは能楽師の大倉正之助さんが大鼓奉納を行った。大倉さんは「映画の中で2人は生き続けている。能も語り継がれてきた、今は亡き先人たちを舞台に表現させて、現代につなげていく。能楽にも全く通じる世界」と話した。