NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜午後8時)で善児を演じる梶原善(56)が、このほどオンラインで日刊スポーツなどの取材に応じた。ネット上での善児の人気ぶりや、脚本を手がける三谷幸喜氏から善児を「代表作にしろ」と言われていたことを明かした。

北条義時(小栗旬)が鎌倉幕府の頂点に上り詰める姿を描く物語で、善児は三谷氏のオリジナルキャラクターとして登場。ドラマでは主人を変えながら、下手人としてさまざまな登場人物をあやめてきた。その仕事ぶりから「オープニングに名前があるだけで恐ろしい」「また誰かが死ぬ」「アサシン善児」などと、恐れと共にネット上の人気を集めてきた。善児の評判について梶原は「最初に三谷さんから『ネットで人気が出ているよ』と言われて。そのうち『オープニングタイトルだけでみんながざわついているよ』と方々から話をいただいて、僕自身ビックリしている状態です」と驚きを語る。

初回登場シーンの台本には「あまりの殺気に思わず振り返る義時」とト書きがあったが、三谷氏からは「人を殺すように見えない人でやって欲しい」と事前に伝えられていたという。台本上と異なる三谷氏のオーダーに「スタッフさんは拍子抜けしたと思う」と笑いつつ、「三谷さんの要望通りにやったことが、善児の評判になったと思う」と話した。

三谷氏とは、同氏が率いた劇団「東京サンシャインボーイズ」に出演して以来約37年の長い付き合いだが、その存在については「端的に言うと、三谷さんがいなければ僕はこの世に出ていないかもしれない。なんでここまで面白おかしく僕を使ってくれるのか、謎ではある」と苦笑する。同氏には物語序盤から善児を「代表作にしろ」と伝えられていたといい、「架空の人物で雑色で、人をあやめるだけの役を代表作にしろって、何を言っているんだろうと。どうやって代表作にすればいいんだろうと思っていたら、本当に代表作になっちゃっている。三谷さんってどうしてこんなことできるんだろう」と不思議そうに語った。

全ての撮影が終わった直後は善児としての気持ちが抜けず、「どうか気絶で済ませてくれないかなと思っていた」とジョークも。善児を「今まで演じた役の中で一番せりふをしゃべっていなくて、それに反して一番反響が大きかった役」といい、「オープニングタイトルに僕の名前が出ることはないので、それは寂しい」と名残惜しさをにじませた。【遠藤尚子】