テレビドラマシリーズ「横溝正史シリーズ」などで知られる、俳優の古谷一行(ふるや・いっこう、本名=かずゆき)さんが8月23日、亡くなった。所属のフロム・ファーストプロダクションが2日、発表した。78歳だった。

「弊社所属俳優 古谷一行が2022年8月23日 火 永眠いたしました。ここに皆様からの生前のご厚誼に深謝し、心から哀悼の意を表しますとともに、謹んでご報告申し上げます。弊社の誇るべき俳優として、数多の作品に出演し、かけがえのない財産を残してくれましたこと、心より感謝の気持ちを持ってお見送りさせていただく所存でございます」

古谷さんは11年10月に肺がんの診断を受け、同11月に腫瘍の切除手術を行い、12年2月に仕事復帰。3年後には脳への転移が見つかったが、放射線治療で完治し病を乗り越えていた。20年9月1日には、急性胃潰瘍のため、都内の自宅から緊急搬送されていた。

同事務所は、小口文子代表取締役名で文書を発表。

「病克服後、次なる挑戦に向けて、家族の見守りと共にトレーニングに通う日々を送っておりました矢先、この度の訃報となる予期せぬ出来事に見舞われてしまいました。余りにも突然な事に、ご遺族のご心痛は、計り知れないものでございます。マスコミ各社様には、どうぞそのお気持ちに寄り添って頂き、ご取材、ご弔問はご遠慮くださいますよう、切にお願い申し上げます」

と古谷さんの近況を紹介した。

葬儀は遺族の意向により、家族葬で執り行ったという。同事務所は「御家族のみで既に執り行われ、供花、お香典に関しましても、固くご辞退申し上げます。少し先にはなりますが、ご親族と相談の上『お別れ会』を執り行う予定です」と発表した。

◆古谷一行(ふるや・いっこう)本名・古谷一行(かずゆき)。1944年(昭19)1月2日、東京都生まれ。中大法学部卒。同大在学中に俳優座養成所に入り、研修生をへて67年に入団し同年の舞台「アンナ・カレーニナ」でデビュー。77年にTBS系でスタートした「横溝正史シリーズ」の名探偵・金田一耕助役で人気を集めた。82年からはテレビ朝日系「土曜ワイド劇場」の「混浴露天風呂連続殺人」シリーズで主役・左近太郎役を演じ、25年演じる当たり役となる。川島なお美さんの相手役を務めた、97年の日本テレビ系「失楽園」も話題となった。19年12月にフジテレビ系で放送された、NEWSの加藤シゲアキが金田一耕助を演じた「悪魔の手毬唄~金田一耕助、ふたたび~」に磯川常次郎警部役で出演し、新旧金田一役俳優の共演も実現。長男はDragon Ashのボーカル降谷建志。