メンバーが政治家に扮(ふん)する社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」のリーダー渡部又兵衞(わたべ・またべえ)さん(本名・由光=よしみつ)が7日、亡くなった。72歳だった。
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渡部さんは「ザ・ニュースペーパー」を、結成時から引っ張る存在だった。小渕恵三元首相や福田康夫元首相ら時の首相のひとことを、クスッと笑ってしまうセリフに変える感覚は、日ごろの研究のたまもの。メークを落とせば穏やかな表情の渡部さんだったが、眼光の鋭さは「素」でも「演者」でも変わらなかった。
そんな渡部さんに、民主党政権時代の当たり役だった元官房長官の仙谷由人さんになりきってもらい、2010年末にインタビューしたことがある。当時の仙谷さんは、菅直人政権で「影の総理」と呼ばれる実力者だったが、問題発言や強引な手腕に批判も多かった。その時、渡部さんから出てきた言葉は、笑いよりも「自己批判」ばかり。「ひとことで言ってだめだね。言葉にウイットを感じない」と、つぶやいた。
ニュースペーパーの芸は単なるものまねではない。笑いに落とし込めるような言動をつかみ、研究していく。渡部さんの分析は「民主党政権のやっていること自体がコント。それをさらにコントにするのはなかなかつらい」と、厳しかった。
話を聞いて1カ月も経たないうちに、仙谷さんは退任。民主党は2年後、政権を失った。渡部さんが磨き続けた風刺センスは正直で、的確なものだったと感じている。【中山知子】
◆渡部又兵衛(わたべ・またべえ)1950年4月10日、新潟県生まれ。小学4年のとき北海道小樽市に引っ越す。小樽桜陽高卒後、上京して桐朋学園短大(現桐朋学園芸術短大)に進学。大卒後、劇団「民芸」に8年在籍し、宇野重吉ら名優の演技に接するが、舞台「夜明け前」で1人7役を演じたことがコントへの目覚めとなった。コントグループ「キモサベ社中」を経て、昭和天皇重病による「歌謡曲自しゅく」で仕事のなくなった3つのコントグループが集結。88年「ザ・ニュースペーパー」の創立メンバーとなった。著書に自身の半生をつづった「お笑い芸人 糖尿病と二人連れ」を06年出版。
◆渡部さんの主な持ちネタ 輿石アズマ、鈴木ムネオ、渡部コウゾウ、仙谷ヨシト、福島ミズホ、福田ヤスオ、中曽根ヤスヒロ、与謝野カオル、海部トシキ、土井タカコ、立松ワヘイ



