松山ケンイチ(37)が17日、東京・新宿ピカデリーで行われた主演映画「川っぺりムコリッタ」(荻上直子監督)公開記念舞台あいさつで、共演のムロツヨシ(46)に対し「いきなり風呂、貸してくれって…断りますよね」と笑いながら言い放った。

松山は劇中で、無一文のような状態で北陸のある町の「イカの塩辛」工場で働き始めた山田たけしを、ムロは隣人の島田幸三を演じた。山田は、工場の社長の紹介で安アパート「ハイツムコリッタ」に住み始めるが、映画の序盤で山田が引っ越し早々、部屋に押しかけてきて風呂に入っていないので貸して欲しいとせがむ島田を、ドアを閉めて一蹴する場面がある。

松山は「ムロさんは、とっても好きな俳優ですし、仕事仲間ですけど、いきなり入っていて、風呂貸してくれって…断りますよね。僕も同じ立場だと断る」と語りかけた。ムロは「自分の中にも少しだけある、さみしさ、孤独の恐怖を、見て見ぬふりをするために、どんな人か分からないけど関係性を持とうと…お風呂、入りたかったんだよね」と演じた島田としての思いを説明した。

松山は、打ちひしがれていた山田の元に島田が押しかけ、家庭菜園で栽培していたキュウリ、トマトを置いていくシーンを踏まえ「おっしゃったこと、よく分かるんですけど…。山田が、この世界からいなくなるんじゃないかと思った時にトマトとキュウリを持ってきた。命をつないでくれた感謝が自然と出てきた…根本的なものがあった。あれ、狙ってたんですか?」と問いかけた。ムロが「食わななきゃ死ぬぞ、というだけだと思う」と返すと「(島田の)したたかな部分と意識してないところがあって、巻き込まれ…2人は救われる。そこが、ものすごく面白い」と評した。

ムロは「関係性が生まれてからのご飯のシーンはワクワクした。ご飯がおいしかった」と松山との共演シーンを振り返った。その上で、荻上直子監督について「荻上監督と出会って、役者感が変わった。あとは監督との毎日の闘い…緊張感とやりがいが交互だった」と、撮影を振り返りつつ語った。