歌舞伎俳優尾上松緑(47)が26日、東京・泉岳寺で、「芸術祭十月大歌舞伎」(10月4~27日、東京・歌舞伎座)で上演する「荒川十太夫」の取材会を行った。講談の名作を歌舞伎化するもので、同作を得意とする講談師で人間国宝の神田松鯉(79)、神田伯山(39)も出席した。

「荒川十太夫」を初めて聞いた時から、歌舞伎化への思いを持っていたという松緑は「役者人生の節目。今、いろいろな話し合いをしながら進めていますが、苦労とは感じない」と話した。

赤穂義士の堀部安兵衛が切腹する際、介錯(かいしゃく)を務めた荒川十太夫を描いた。

松鯉は「自分のやった講談が歌舞伎化されるのは夢のよう。今までになかった大変な喜びです」と話した。

同作の上演を前に、今月28日には歌舞伎座で、松鯉、伯山による講談会が開催される。歌舞伎座の舞台に講談師が上がるのは97年ぶりだという。伯山は「暗いムードになっている中、ハレの場をつくれるのがエンターテインメント」と、自信と期待を見せた。

赤穂義士の1人、堀部安兵衛の墓前での法要にも参加。松緑は「見守ってくださいという気持ちでお参りしました」と話した。松鯉は、赤穂義士伝が講談の人気ジャンルであることに触れ「赤穂義士にはおのずと頭が下がる。だって食わしてもらってんだもん」と笑わせた。