元アイドルの高見知佳さんが21日午後、がん性腹膜炎のため愛媛県新居浜市内の病院で死去した。60歳だった。

がん性腹膜炎はがんが腹腔(ふくくう)内に転移し、末期に近い状態になったときに現れる。肝臓や大腸、胃などのがんが進行すると、臓器を覆っている腹膜を破って腹腔(ふくくう)内にこぼれ落ちることがある。腹腔(ふくくう)内に転移して散らばったがんを腹膜播種(はしゅ)といい、がん性腹膜炎を引き起こす。

転移しやすいがんとしては、主に消化器系のがん、生殖器系のがん、婦人科系のがんが挙げられる。その中でも特に胃がん、大腸がん、卵巣がんを原因とするものが多い。症状は腹部に腹水がたまって痛みが出るほか、腸閉塞(へいそく)や水腎症を併発する。

診断については、腹膜がんは開腹または腹腔(ふくくう)鏡による腹腔(ふくくう)内の観察、子宮全摘術、両側卵巣と卵管の切除、骨盤や傍大動脈リンパ節生検または郭清、大網切除、腹腔(ふくくう)内の腫瘍切除を行い、病理学的検査を経て確定診断がつく。

がん性腹膜炎を発症すると、全身の状態が著しく悪化する。具体的には、食事がうまく取れない、食欲がなくなる、吐き気や嘔吐(おうと)が生じるなどの症状が見られること。食事が採れないことに加え、がんが広範囲に広がることと関連し、体重が減少することもある。

がん性腹膜炎では、おなかの中に腹水が多く蓄積することがある。このため、おなかが大きく腫れる、呼吸運動が著しく阻害されて息苦しさを感じるなどの症状につながる。がん性腹膜炎を生じることで血圧の低下、意識状態の悪化などがもたらされ、短い時間の間に死に至ることもある。