俳優山田裕貴(32)が、4月期のTBS系連続ドラマ「ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と」(金曜午後10時)でゴールデンプライム帯(GP帯=午後7時~同11時)連ドラ初主演を務めることが9日、分かった。このほど取材に応じ「主演だからというより、いつもどの現場でも役を生きるという、ただそれだけです」と自然体で意気込みを語った。

同作は、都心へ向かう電車の一両が突然未来の世界にワープし、乗客のサバイバル生活が始まるというオリジナル作品。カリスマ美容師・萱島直哉役を演じる山田は、初のGP帯連ドラ主演に「キャストの皆さんスタッフの皆さんに助けてもらおうかなと。本当に僕自身も主人公向きじゃないし、萱島も主人公向きじゃない。そういう人が主人公ということで、何かその辺の面白みはあるのかなと思います」と笑みを浮かべた。

これまでも映画やドラマ、舞台で主演の経験は多くある。「前からそう思うんですけど、『俺主演だから』っていうのないんです。だって萱島直哉は自分が主演だと思って生きていないし。彼を生きることが第一。もちろんその(撮影)現場の空気とか、そういったことはもう昔から気にするタイプなので、主演だからとか、どこの立ち位置にいるとか関係ないです」と座長としての心構えは持ちながらも、役を生きることに全力を注ぐ。

オリジナル作品で、異世界にワープするという非現実的な設定を説得力もって視聴者に届けなければならない。「もう完全なる芝居力でしかない。めちゃくちゃそこフル任せされているなっていう。まあでも僕はまだ12年ぐらいでベテランの方からしたら浅々ですけど、(デビューの)戦隊ものが始まったあの日から、ずっとうそを本物にするってことだけをやってきたので、それなりに戦えるんじゃなかろうかと。何か自信がないわけでもないんですよ」と力を込めた。

劇中では、スマートフォンも役立たない極限状態で世界を生きる。そんな異世界でも今の時代に落とし込んで演じる構えだ。「この状況でうだうだいってんじゃない。帰れないんだからまずここで過ごすことか、今生き抜くことを考えないと。(今の時代)なんか誰かのせいにして生きがちだけど、多分この人(萱島は)誰のせいにもせず生きられる人だから、何かそこがちゃんと伝わったらいいな」と願った。

年始からNHK大河ドラマ「どうする家康」(日曜午後8時)フジテレビ系「女神の教室~リーガル青春白書~」(月曜午後9時)を掛け持つなど多忙を極める。日曜と月曜の2作品で演じ分けが話題となるが、どのような心境かと問うと「僕が語るよりも1回それをやっていることを想像してみてくださいっていう」といたずらっぽく笑った。「想像できないです」と返すと「でもそういうことですね。僕の気持ちをもしわかろうとするなら、このドラマの一番の肝でもあるんですけど、その人にしかわからないから、みんな支え合っているし、助けあっている。相手のことをどれだけ考えるかが重要なので、想像できないかも知れないけど想像してみてほしいです」と作品の内容に絡めて呼びかけた。【佐藤成】

◆山田裕貴の活躍メモ 11年テレビ朝日系「スーパー戦隊」シリーズの「海賊戦隊ゴーカイジャー」でデビュー。順調にキャリアを重ね、19年NHK連続テレビ小説「なつぞら」で一気にブレークした。21年にはNHK「ここは今から倫理です。」や同年フジテレビ「志村けんとドリフの大爆笑物語」などのドラマで主演。映画は「闇金ドックス」シリーズや22年「夜、鳥たちが啼く」など、舞台は16年「宮本武蔵(完全版)」などで主演を務めている。