東出昌大(35)が14日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた主演映画「Winny」(松本優作監督、3月10日公開)先行上映舞台あいさつで涙した。

東出は劇中で、2002年(平14)に起きた違法アップロード問題の要因となった、ファイル共有ソフト「Winny」を開発、公開したことで、著作権法違反ほう助容疑で04年に逮捕されてしまった、プログラマー金子勇さんを演じた。金子さんは7年後の11年に最高裁で無罪を勝ち取ったが、東大学情報基盤センター特任講師を務めていた13年7月に急性心筋梗塞で亡くなった。映画は、一連の事件。裁判の実話を映画化した。

この日、金子さんの実姉からサプライズで送られた手紙が読み上げられた。東出は「弟は13年7月6日に亡くなりました。それから、10年…。04年5月に逮捕されてから、20年の月日が流れようとしています。東出様…映画の中の東出さんは、弟が生き返ったようで思わず涙が出ました。お墓参りをし、きれいにぴかぴかに掃除してくださったこと一生、忘れません」という言葉を聞くと、涙した。

東出は「自分の無知を恥じるんですが金子さん、事件、両方、オファーをいただくまで知らなかった」と明かした。その上で「金子さんに懐疑的なものを持ちながら取材、役作りをした。こんな天才、純粋無垢(むく)なプログラマーがいたんだ…知って欲しいと思って演技した。体重を増やし、遺品を借りて…知人の皆さんが喜々として、話すことも役作りに役立った。金子さんが素晴らしい、なりたいと思ったから役作りした」と力を込めた。

金子さんの姉からは「弟には、もう会えませんが、思いだし、語り継がれることで弟は心の中に生きる。技術者、新しいことに挑戦される皆さんの勇気につながればと思います」とのメッセージもあった。東出は、金子さんの7年の裁判をともに戦った、ダブル主演の三浦貴大(37)が演じた、壇俊光弁護士らから聞いた話を振り返り「(裁判に)勝者はなかったとおっしゃった。でも未来のために7年、戦った。人の生き方、何に命をとすかは簡単にできないから1本の映画にする。7年の月日、熱量、新年を受け取って、映画に焼き付けたいと思ったし…焼き付けられたと思う」と訴えた。

この日は吹越満(57)渡辺いっけい(60)も登壇した。