メジャーリーグで投打で大活躍するエンゼルス大谷翔平選手の影響で、「二刀流」という言葉を見聞きしない日はない。
由来は、剣豪・宮本武蔵が開祖の剣術流派「二天一流」にあると言われる。特徴は、大小2つの、間合いの異なる刀を同時に用いる二刀流であることだ。そこから「2つの分野で能力を発揮する」ことの例えなどとして使われている。
年末恒例の「現代用語の基礎知識選 ユーキャン新語・流行語大賞」で、大谷の「リアル二刀流/ショータイム」が2021年の年間大賞に選ばれている。その後も「二刀流」という表現の勢いは収まらない。
芸能界でも最近、頻繁に登場する。俳優で歌手(その逆も)や俳優で映画監督などは極めて一般的な二刀流だが、中には「へ~」と感心してしまう二刀流もいる。北野武のように、コメディアン、俳優、映画監督、脚本家、作家、歌手、詩人、写真家、コメンテーターなど“何刀流”にもなってしまう方もいる。そんな多才な方は除いて、シンプルに二刀流を探してみた。
「芸能人で作家」は多い。お笑いの又吉直樹が「花火」で芥川賞を受賞した。アイドルではNEWSの加藤シゲアキや、元乃木坂46の高山一実。モデルでタレントの押切もえも小説家としての顔も持つ。お笑いの矢部太郎は漫画家、キングコングの西野亮廣(にしのあきひろ名義)は絵本作家としても有名だ。
「芸能人で気象予報士」も多い。代表格はもちろん俳優の石原良純。26年前に資格を取ったパイオニアだ。Snow Manの阿部亮平は上智大理工学部に在学中から受験し、5回目の挑戦で合格している。このほか、東大卒の落語家・春風亭昇吉や元AKB48の武藤十夢も資格を持つ。「作家」で登場した矢部太郎も07年に合格している。
「芸能人で建築士」は、俳優で怪談家の稲川淳二が有名。芸能界に入る前にデザインの専門学校で学び、1級建築士の資格を持つ。96年には工業デザイナーとして「車どめ」のデザインで、当時の通産省選定「グッドデザイン賞」を受賞している。俳優菊川怜は東大工学部建築学科卒で、2級建築士である。
意外な資格を持つ二刀流も多い。「お笑いで消防設備士」が、元ザブングルの加藤歩。消火器やスプリンクラーなどの設置・保守点検などを行う国家資格だ。
「歌手で彫刻家」が、「千の風になって」で知られるテノール歌手の秋川雅史。「歌手で画家」はジュディ・オング(版画)や八代亜紀、工藤静香など多いが、彫刻家はあまりいない。21年の第105回記念「二科展」彫刻部門で、木彫の楠木正成像が芸能人として初めて入賞している。
「お笑いで毒物劇物取扱責任者」という異色の二刀流もいる。蛍原徹だ。国家資格で、「芸人のなれなかった時のために」と勉強して合格したという。もちろん今は、資格を持っているだけだが、挑戦しようと思っただけでもすごい。
二刀流の同義語には「両刀遣い」「二足のわらじを履く」などがある。「両刀遣い」には意味深な解釈もあるので、余談ですが「君は両刀遣いだね」の表現は慎重に。【笹森文彦】



