歌舞伎俳優市川猿之助(47)が両親とともに自宅で倒れ、両親が亡くなったことについて、猿之助が「死んで生まれ変わろうと家族で話し、両親が睡眠薬を飲んだ」と話していることが20日、分かった。

また、母が父を介護する老々介護の状態だったことも明らかになった。休演していた東京・明治座の昼の部公演は、市川團子(19)の代役主演で再開した。

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猿之助は「死んで生まれ変わろうと家族で話し、両親が睡眠薬を飲んだ」という趣旨の説明をしているという。警視庁は一家心中を図ろうとしたとみて、経緯を調べている。歌舞伎俳優の父市川段四郎さん(76)母喜熨斗延子さん(75)の司法解剖の結果、死因は向精神薬中毒死の疑いがあると明らかにされている。捜査関係者によると、猿之助も死亡した両親と同じく何らかの薬物を服用していた疑いがあるという。病院への救急搬送後に胃の洗浄を受けていた。これまでの現場検証と家宅捜索では、関連する薬物や容器は確認されていない。

「死んで生まれ変わろう」と話し合ったということについて、にわかに理解しがたい部分もあるが、猿之助はこれまで輪廻(りんね)転生をテーマにした舞台を演出したこともある。これまでの取材で「輪廻転生した時、歌舞伎がなくなっていたら大変。そのためにも頑張る」と、生まれ変わりを信じているような発言をしたこともあった。

また、複数の関係者によると、体調不良でほとんど寝たきりの状態だった父段四郎さんは、近年は思考能力も著しく低下していたという。母延子さんが世話をする、いわゆる「老々介護」の状態が長期間に及んでいた。猿之助も高齢の両親を支えながら澤瀉屋のトップとして多忙を極め、正常な判断ができなかった可能性も指摘されている。

猿之助と両親は18日午前10時15分ごろ、東京都目黒区の自宅で倒れているところをマネジャーが見つけ119番した。両親は2階リビングの床に並んで倒れ、布団が掛けられていた。猿之助は半地下のクローゼット内で見つかった。猿之助は、発見時は意識がもうろうとしていたが、命に別条はないとして19日に別の医療機関へ移った。

猿之助を巡っては、週刊誌「女性セブン」が性加害やハラスメント疑惑を報じていた。

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