女優若村麻由美(56)が主演を務めるフジテレビ系7月期連続ドラマ「この素晴らしき世界」(木曜午後10時)の撮影がついにスタートした。当初は鈴木京香(55)が主演だったが、先月の撮影初日に体調不良を訴え降板。若村の代役主演が同局から発表されていた。

今作は、平凡な生活を送る“主婦”が、ひょんなことから芸能界で活躍する“大女優”になりすましながら二重生活を強いられる“なりすましコメディー”で、完全オリジナルとなる。主演の若村が普段はパートとして働く主婦と大物女優という正反対な一人二役を演じる。

主人公・浜岡妙子(はまおか・たえこ/若村)が働くスーパーマーケット「ラビットマート」の野菜売り場でクランクインとなり、物語の劇中写真も初解禁となる。初日は白いカットソーに「ラビットマート」のエプロンというラフないでたちでのシーンに。若村は収録現場に到着すると、制作スタッフよりも大きな声で「これから(1クール)よろしくお願いします!」とあいさつし、今作に懸ける思いが垣間見えた。

撮影の合間には監督とともに熱心に、そして時には談笑を交え話し合いながら初日の収録は順調に進んでいった。今後は正反対性格の持ち主でもある若菜絹代(わかな・きぬよ/若村)のシーンも撮影予定。

今作で主婦と女優の二重なりすまし生活を送る妙子と、大女優という正反対の二役を演じていく若村は、仲代達矢主宰の「無名塾」出身。NHK連続テレビ小説「はっさい先生」(1987年)のヒロインに選ばれてデビュー。映画、ドラマ、舞台でさまざまなヒロイン役を務め、エランドール新人賞を始め、数々の受賞経歴がある実力派。同局系「白い巨塔」(2003年)の財前杏子役の好演を機に、個性的な役柄にもチャレンジし幅広く活躍している。同局系連続ドラマでの主演は「夜桜お染」(2003年)以来約20年ぶりとなり、今作で共演する木村佳乃、沢村一樹、マキタスポーツとは初共演となる。

プロデュースを務める鈴木吉弘(フジテレビ編成制作局ドラマ・映画制作センター)は台本の進行について「僕の担当した連ドラでも、一般的にはクランクインの段階で半分くらいの台本ができていて、あとは撮影をしながら順次作っていくことが多かったです。実際の撮影やお芝居を見ながら内容を作って行くというような。それも連ドラの醍醐味(だいごみ)ではあるのですが、今回は2月には最終回まで全ての台本が出来上がっているという形でした」とコメントした。

主演交代については「若村麻由美さんに主演を引き受けていただけることになって、ご本人とお会いしていろいろお話をしまして、主婦と大女優という二役を演じていただくにあたって多少セリフの言い回しや語尾などを変更して、脚本を書き直して新しい決定台本を作りました。物語全体については全く変わっていません」と語った。

今作の肝に当たる“なりすまし”については「この役は、“平凡な主婦”と“大女優”という二役だけではなく、“主婦がなりすました女優”という中間の一面もあり、とても多彩な表現が求められます。若村さんとご一緒させていただくのは今回が初めてなのですが、さまざまな作品を拝見していて、役柄ごとに見事に違いを演じ分けて表現されているので、この難しいキャラクターも面白く見せてくださると確信しています」と話した。