元衆議院議員の金子恵美(45)が5日、都内で新著「もしも日本から政治家がいなくなったら」(内外出版社)発売を記念し「金子恵美塾」を初開催した。質疑応答の中で、前日4日にインターネットの動画投稿サイトで芸能人らを脅迫したなどとして、暴力行為法違反(常習的脅迫)などの疑いで逮捕された、前参院議員のガーシー(本名・東谷義和)容疑者(51)の、一連の騒動に関する受け止めを問う質問が出た。

金子は、今年の統一地方選でユーチューバーが、ことごとく落選したと指摘。「統一地方選に出られても軒並み落選しているのを見ると、ユーチューバーということで、YouTubeでの活動を支持したから投票することに対して、慎重になった人がいたと思う。一定数のYouTubeのファンがいたとしても、選挙って、そんなに甘いものじゃない。もっと、泥くさいところで耐えていくものが選挙なので」と分析。「統一地方選と、相性が良くなかったのかも知れないけど、有権者もガーシーの例を受けてユーチューバーに慎重な姿勢を見せたことで、影響が出ているんじゃないか」と続けた。

一方で「ユーチューバーの方が悪いわけじゃなく、もっと、もっと立候補して欲しい。ユーチューバーの自分だからこそ経験したことを踏まえて、考えて成し遂げたい、目指したいというものを具体的に示し、やっていけば、ガーシーとの違いを出すことは図れると思う」と指摘。参院議員になって、国会議員の問題を国会で暴露するとほえながら、アラブ首長国連邦(UAE)への滞在を続け、1度も国会に登院しないまま議員資格を失い、前日に逮捕されたガーシー容疑者と、違う立ち位置で選挙に挑むべきだと投げかけた。

また、ガーシー議員誕生の裏には、有権者の既存の政党への期待感の低下があったとも指摘。「政治家の問題点の暴露への期待感と、もう1つ、既存の政党への失望。入れるところがない…だから若い人たちは、分かりやすいから、ガーシーは知ってるから入れた、というのも得票につながったのかな」と分析。そして「既存政党への支持がなくなっている、その受け皿になっていたと思う。若い方の投票率を、どうやって上げていくかは息の長い戦い。主権者教育は、地域の選挙管理委員会の人が学校に行って、子どもたちに早い段階からやっている。これが、少し効いてくれば良いな」と主権者教育に期待した。

そして「政治に対して関心が持てないのは政治にも問題がある。魅力のある政策を作っていかないと…シルバー政策になっている。若い人の政策も考えないといけない。若い人にも考えて欲しい。自分のことに関心があるんだったら、それは政治につながっているんだから、政治に関心を持たないのは、おかしい」と訴えた。

この日、初開催した「金子恵美塾」には、そのあたりを改善したい意図がある。金子は「国政、地方議員の役割、何をしているかを話した。統一地方選挙も投票率が低かった。どういう意味があるか話した。政治塾ということでは、国会議員を辞めてから初めて。塾と言うよりかは、ワークショップ的に皆さんにご意見いただいて、やった」と趣旨を説明。「政治家がいなくなるのは、民主主義国家としてあり得ないこと。政治家が必要ない、という人に気付いてもらう本。今日は入り口だった。2、3回、続けていければ、実際に立案できるように…議会に検討してもらうための請願のまとめ方だったり、ディベートのやり方を、回数を重ねる中で出来たらと思い、政治を知るきっかけの界になれば良いなと思った」と、著書と政治塾の意義を強調した。