母親に対する自殺ほう助の疑いで逮捕された市川猿之助(本名喜熨斗孝彦)容疑者(47)が出演予定だった「七月大歌舞伎」が3日、東京・歌舞伎座で初日を迎えた。
昼の部では、配役変更で主演を務めた市川中車(57)が初の宙乗りに挑み、澤瀉屋(おもだかや)一門の結束を見せた。28日まで。
◇ ◇ ◇
昼の部「菊宴月白浪(きくのえんつきのしらなみ)」最大の見どころは、大きな凧(たこ)に乗って空を飛ぶ宙乗りだ。舞台から客席後方へだけでなく、客席後方から舞台に戻る「両宙乗り」という演出がある。大凧に乗った中車は「澤瀉屋!」の大向こうや拍手に沸く客席を見渡し、目を潤ませ、目をしばたたかせた。
同演目は、中車の父市川猿翁(3代目猿之助=83)が84年に復活上演させた。3回上演されたが、91年を最後に上演が途絶えていた。32年ぶり上演にあたり、中車は「父の熱い思いを受け継ぎ、力を込めてつとめます」と話している。宙乗りに加え、屋根の上での大立ち回りもある。中車が「私には初めてづくしです。令和のエンターテインメント作品として楽しんでいただけるよう、澤瀉屋一門をはじめ、共演の皆様の胸を借り、力を合わせて臨みます」と語っているように、熱演となった。
宙乗りは猿翁の代名詞であり、澤瀉屋のお家芸。猿翁は5000回以上も飛び、猿之助容疑者も1400回飛んだ。花道から6~8メートルの高さがあり、今回は傘を開いて飛ぶという場面もある。バランスや見せ方、技術面など難しさは多々あるが、澤瀉屋の経験と結束を見せた。【小林千穂】



