宮崎駿監督(82)の10年ぶりの新作長編映画「君たちはどう生きるか」が、7月14日、全国で公開された。エンドロールで、主演は俳優山時聡真(18)であることが判明した。

また木村拓哉、菅田将暉、柴咲コウ、あいみょん、木村佳乃、竹下景子、國村隼、大竹しのぶ、小林薫、火野正平、滝沢カレン、阿川佐和子も出演。主題歌は米津玄師の「地球儀」であることも判明した。

「君たちはどう生きるか」は、22年12月13日に都内で開かれた、東宝の23年ラインアップ発表会見で発表された。席上で、宮崎監督が少年時代に読んで感動した吉野源三郎の同名小説にインスパイアされ、題名を借りて新たにオリジナルの物語を生み出したことが明かされた。併せて、宮崎監督直筆のキャラクターが描かれたビジュアルも公開されたが、以後、作品に関する情報は、ほぼ全て、開示されなかった。通常、公開までに概要を含めたあらすじ、声優キャストなどが発表され、製作報告会見なども開かれるのが通例だが、公開初日まで一切、開かれず、宣伝活動は、ほぼ行われなかった。

6月28日に都内で行われた「金曜ロードショーとジブリ展」(29日~9月24日)開会セレモニー&プレス内覧会で、スタジオジブリ社長の鈴木敏夫プロデューサー(74)は、公開を2週間後に控えながら、宣伝を一切、しないことについて、宮崎監督から「宣伝なくて大丈夫かな? 鈴木さん、信じているけど。心配だな」と問われたと明かした。加えて、新作アニメ映画を作っていく方向性も示した。

「君たちはどう生きるか」は、13年の映画「風立ちぬ」以来の宮崎監督の新作となる。鈴木プロデューサーは「今更、お前は何を言うんだ? と言われるかも知れないけれど、宣伝の中で作品の内容を伝えた。頭からケツまで伝えすぎることが視聴者の関心をそいでいる気がした」と語った。そして「いろいろ考えるうちに一切、宣伝がなかったら、どうなるんだろうと考えた。これだけ情報の時代に、情報がないことがエンターテインメントになる。うまくいくか分からないが信じてやる」と語った。

宮崎監督は前作「風立ちぬ」公開後の13年9月に都内で会見を開き「次の作品を考え始めると5年じゃ済まない。7年かかると80歳になってしまう。僕の時代は、はっきり終わった」と長編製作からの引退を発表。ただ17年2月に、鈴木プロデューサーは同監督から16年7月に企画書を渡され新作長編の準備に入ったと明かした。17年5月に「『引退撤回』を決断し、長編アニメーション映画の制作を決めました。年齢的には、今度こそ、本当に最後の監督作品になるでしょう」とスタッフを公募。そして同年10月に都内の早大で故半藤一利さんと対談した際「題名をそのまま勝手にもらって、しかも本が映画の中で主人公にとって意味のあるものになる」と、一部の情報のみ自ら“暴露”していた。翌18年3月には、短編映画「毛虫のボロ」を都内の三鷹の森ジブリ美術館限定で公開していた。