日向坂46影山優佳(22)の卒業セレモニーが19日、東京国際フォーラムホールAで開催された。同期や後輩たちに囲まれ、涙で約7年間のアイドル活動の集大成となるラストステージを飾った。ラストは真っ赤なドレス姿でスピーチし、ファンやメンバー、スタッフに感謝を伝えた。全文は以下の通り。

 

皆さんへの思いを、ちょっと覚えきれなかったので、お手紙にさせていただきました。なんと、話したいことが多すぎて6枚になってしまったので(笑い)。ちょっと早口でお話しするので、お気軽にお聞きください。

こんにちは。日向坂46の影山優佳です。影山優佳卒業セレモニーに足を運んでくださったり、配信を見てくださったりして、本当にありがとうございます。

あと、もう1つ自己紹介をさせてください。「あなたのハートにゲーゲンプレス」。こんにちは、日向坂46の影山優佳です。ありがとうございます。すみません(笑い)。私は今までこの日向坂というグループでの活動の中で、このキャッチコピーを披露することが実はあまりなかったので。これも私のやり残したことということで。今この場にいる皆さん、配信をご覧の皆さんと一緒にかなえられたことが本当にうれしいです。ありがとうございます。

今年の2月17日に卒業発表をしてからまる5カ月が過ぎました。私が卒業を決意した時からすると、もう1年以上たっていたのかなと思います。加入したばかりの頃の私も、高校の単位が足りなくて活動休止をした私も、自分の全てだと思っていたものを失っていた頃の私も、今こうして、こんなにもすてきな場所で、すてきな皆さんに私の卒業を祝ってもらえることを想像できていなかったんじゃないかなと思います。

ここから私のこれまでだったり、今の思いなどを。少し込み入った話をするかもしれません。伝わりにくい表現がありますことを、お許しください。私は先ほど挙げたような、人生の分岐点の、深く谷底に突き落とされたような時間を過ごしてしまったこともありました。人は私を完璧だと言ってくれるけど、私は完璧じゃない。だからこそ完璧じゃないといけない。完璧にならなければならないのだと、完璧でなければ私じゃないのだと、常に私という存在に後ろめたさを感じていました。

卒業してから今日までも正直、怖い思いを、悲しい思いをするなどして、自分自身に不安を感じることがよくありました。でも今はこんなにもこんなにも私のことを支えてくれる人が、直接に会ってもなくても、応援の声をかけてくれる人がいるんだ、と皆さんの力を借りて胸を張ることができています。本当にありがとうございます。

振り返ると、休業から明けて復帰することを勧めてくれたのも、なかなかに負荷の高い個人活動との両立を応援し続けてくれたのも、メンバーのみんな、スタッフの皆さん、そしておひさま(ファンの総称)の皆さんでした。今の私は皆さんのおかげでここに立てています。

そんな中で、私は今でも少し後悔していることがあります。それは耳の特性でライブに不安を感じている、とカミングアウトしたことです。これを言ったことによって、皆さんが私たちのライブで感じてもらった幸せとか、勇気とか、元気とか、楽しさの記憶が、「影ちゃんに無理をさせてしまったのかもしれないな」という申し訳なさの記憶に、私のせいでもしかしたら塗り替えられてしまったかもしれない。そんな人もいるかもしれないと思いました。本当にごめんなさい。

今の状態で言うと、舞台を見に行くのが好きだったり、あるいはライブの多くも見に行くことができる程度なんですね。もしかしたら、こうやって立つこともできるかもしれません。ただ、こんなにたくさんの皆さんに来ていただく、大きな会場でやる日向坂のライブは、だんだん私にとっては耳の中の音がとても大きな音に感じてしまうということがあります。だけと言えば、それだけのことです。でも、私にとって大好きな日向坂のライブで苦しい顔をしてしまったり、気がめいって気が散ってしまって思うようなパフォーマンスができなかったりする自分が、心底、許せませんでした。

ライブをお休みさせていただくというお知らせは、みんなのようにまた輝いて生きるために、いつも無理をしすぎてしまう私自身を許してあげられるように、自分に素直にならなきゃな変わらなきゃなと思っての言葉でした。そしてその後の期間で、「常に輝き続ける必要はないんだよ」っていうことを皆さんに教えていただきました。

そのおかげで今はもうちょっと周りが見えるようになって、気持ちも穏やかになってきて、やっぱり私、日向坂大好きだなってこととか、表現の活動、私大好きなんだなって、実感することができています。

今は視力が2・0で、ちょっと人混みが苦手で、家の外から夜ご飯の匂いが当てられるみたいな、そういうちょっと感覚の鋭い自分が好きでいたいって思えるようになって。皆さんにも自分自身を愛して…というのは、今こうして聞いてくださっているファンの皆さんだけじゃなくて、メンバーにも伝えたい言葉です。自分を愛してください。

メンバーへのより深い思いみたいなものは、こういうスピーチで話すとなんかちょっと気恥ずかしいので、それぞれに実はお手紙を書いてきたので、また後で渡したいと思いますが。ここではちょっと軽くお話ししようかなと思います。同期! 先にいなくなってごめん。一期は誰かが辞めるときはせーのでみんなが辞めるときだ、っていう話が大好きだった。私が甘えられるようになったことを成長だと言ってくれてありがとう。みんなに会えたことが私の人生の誇りだよ。

後輩! けやき坂46(ひらがなけやき)、日向坂に入ってきてくれてありがとう。このグループを愛してくれてありがとう。前に進みたいのに前がわからなくなることだって、自分が何者かわからなくなることだって、まぁ大体、「笑ってりゃあ何とかなる」。私が人生をもって証明するぞっ。これからを頼んだぞっ。アハハ。ちょっと意気込んでしまいました。

あらためて、いろいろな挫折や失敗がこの身に降りかかっても、メンバー、スタッフさん、そして今こうして温かいまなざしを向けてくださっている皆さんが背中を押してくれたから、今の私があります。私って本当に幸せ者です。出会ってくださってありがとうございます。

これからのことについて話したいと思います。抽象的なことを言うと、先ほどのVTRでもあったんですけど、自分を許せるようになりたいです。そして、もっともっともっと大きな人間になって、ある日どこからか「影山優佳ちゃんって日向坂にいたんだね。日向坂ってすごいんだね」みたいな話が聞こえてくるようになったらいいなって思います。

具体的にって言うと、どうなっていくか、私自身も分からないです。お芝居を見ることが大好きなので、そちらに踏み入れていくのかもしれないし、あるいはちょっと充電するのかもしれないですし。また不思議な、よう分からない資格とか見つけて勉強するのかなっていうこともあるかもしれない。それでも皆さん、どんな未来になっても私を温かく見守っていてくれませんでしょうか?(歓声を拍手を浴びる)。ありがとうございます。

見守らなくても、頭の片隅にでも、脳内メーカーの端の「ちょん」ぐらいでも、入れてもらえたらなと思います。そして日向坂をよろしくお願いします。日向坂は、これからです。

最後に1つ、私らしく、ここで豆知識をお話ししたいと思います。「一番星」とは、夕暮れの時に空を見上げてあなたが一番初めに見ることのできた星です。そうです。あなたが初めて認識した星です。あなたにとっての「一番星」は何ですか? 先ほど皆さんから「輝き続ける必要はない」と教えてもらった、と話したんですけど、あなたが方向だったり目標だったりを見失ってしまった時にパッとあたりを照らせる、そんな温かい星に私はなりたいです。これからも日向坂46をよろしくお願いします。影山優佳も、ちょっとだけよろしくお願いいたします。

…とここまで書いたんですけど。やっぱりね、寂しいのよ。メンバーに会えなくなることも、皆さんに会えなくなることも寂しい、悔しい。切ないけど、だからこそもっと頑張って這いつくばって生きていきます。これからもよろしくお願いします! 2023年7月19日、日向坂46影山優佳。