宝塚歌劇団の花組トップ柚香光(ゆずか・れい)が16日、大阪市内で退団会見を開き、感謝の思いを繰り返した。
2月に卒業を決意し、劇団と相談。3月に相手娘役の星風まどかへ伝えた。星風は「ぜひご一緒に」と同時退団を望み、「うれしかった」と振り返った。
09年入団の95期生。花組に配属され、花組一筋。
「花組しか知らないので、花組への思いは人一倍あります。お客さまも、花組に携わってこられた方々も、花組に対してすごく誇りを持ってらっしゃって、代々受け継がれてきた誇りというのを感じていました。その名に恥じないようにという思いできました」
来年110年の劇団史でも、最初に生まれた花組に受け継がれてきた伝統の重みを実感していたという。
15年台湾公演ではオスカルを演じ、「はいからさんが通る」「花より男子」など、話題作にも主演。同11月、明日海りおの後任として、花組トップに就いた。
在団15年で印象に残るできことには「さまざまなお言葉が聞こえてくるようなお客さまの拍手」と口にし、届けたい言葉にも「ただただ感謝」とした。
コロナ禍でトップに就き、本拠地お披露目公演は4カ月遅れたが、これも「お客さまの思い、花組生、スタッフ…みなさまの思いにさせられてきた」。愛にあふれた場所だったと振り返り、宝塚は「私の青春、私のすべて」と話す言葉には力を込めた。
「(出会い、できごとを)思い返してみると、自然と目尻が下がって、ほおが上がってしまう。かけがえのないいい思い出。私の中でずっと残り続けるであろうと思います」
入団前の自分に将来を相談されたら-。そんな質問にも「あなたはこれから、すばらしい方々に出会い、すばらしい体験をしますよ、と言いたい」。真顔で返した。
卒業後は「外の世界で新しい自分を見てみたい」とも言い、退団後の俳優活動への意欲ものぞかせた。
「でも、今は、卒業までの9カ月、大切な場所で、大切な時間を過ごし、大切な仲間とともに、男役・柚香光を最後の時まで極めていきたい」
極める男役とは-と聞かれれば「男としての思考回路、完全に1人の男として存在したい」。オフの場では柔らかな表情で、素直な受け答えが特徴的な柚香だが、舞台に上がれば一変。男役道を究めて退く覚悟を口にした。
また、恒例の「ご結婚の予定は」には、にっこり笑い「輪ゴムでここ(薬指)に(指輪風な物を)作って着けてこようかと思いましたが、勇気がなかったです」と笑わせつつ「でも、当分、空いてます」と言うと、また笑顔を弾けさせた。
写真撮影時には「花組ポーズ」を求められ、足まで使って全身で応じるなど、持ち前の豊かなサービス精神を発揮していた。
サヨナラ公演は来年2月9日に宝塚大劇場で開幕する「『アルカンシェル』~パリに架かる虹~」で、小池修一郎氏のオリジナル作。ナチス・ドイツの侵攻に抵抗し、パリのレビューを守るダンサー役に臨む。同公演の東京宝塚劇場千秋楽の同5月26日付で、相手娘役の星風まどかとともに同時退団する。