堺雅人(49)が主演を務めるTBS系連続ドラマ、日曜劇場「VIVANT」最終回が17日、放送される。放送を前に、同ドラマの飯田和孝プロデューサーが各話の注目ポイントを語った。前編(第1話~第5話)を紹介する。
▼第1話「ドラム(富栄ドラム)の付けた発信機に気づく乃木(堺雅人)」
クランクインする前に、台本はほぼできていたので、1話で乃木がドラムに盗聴器を仕掛けられたところは、すれ違うシーンを撮影する際に、別班・乃木がそれに気づく5話のシーンも併せて撮影しています。
その後、乃木はCIAのサム(Martin Starr)と話すわけですが、盗聴器がある状況なので、聞かれてはいけない話は、盗聴器から離れた広場へ出て話している演出に。衛星から乃木の顔を見るために作られたシーンと思われるかもしれませんが、実はそういう意味もあったんです。これを踏まえてもう1度あのシーンを見ていただくと、面白いかもしれません。
▼第1話「乃木VSザイール(Ganbold Erkhembayar)」
ザイールを銃で撃つシーンは、実は乃木が撃っていたという部分も同時に、撮影しています。カメラのアングルを変えることで、1話では見えないようなアングルのカメラを採用し、別の野崎(阿部寛)の視点(野崎の小型カメラ)からのアングルは5話で採用しているんです。乃木さんの動きや体の向きも非常に繊細な演出になるので、態勢や、銃の出し方、それでいて、あれだけ正確にザイールの腕を撃ち抜くためにプロが見ても違和感のない撃ち方を、監督、堺さん、ガンアクション指導、アクション指導を交えて綿密に打ち合わせて、工夫しながら撮影をしました。ザイールを撃った後、野崎が突入しくるので、銃を持ったままにはできない、どう処理するかまで綿密なシミュレーションがなされていました。
考察でも気づいていただいてますが、ザイールのところへ向かう途中、乃木が警察車両の中で、少し屈むしぐさは、あの時乃木さんは、銃を仕込んでいるんです。もう一度見てもらうと、警察官が「例のものは3万だ」というようなことを言っているんですけど、「例のもの」とは、その銃のことなんです。
▼第1話「アリ(山中崇)のスマホをすり替え」
堺さんとマジック指導の方と、スーツを着ている状況で、どう隠して、どうすり替えるかという打ち合わせを何度も重ねました。またアリの部屋でデータを盗むところも、サイバー監修の助言を元に、福澤(克雄)監督と助監督がなん度もシミュレーションし、現場で堺さんとも何度も話し合って、別班ではない乃木のキャラを保ちながら、どのように実行するのが良いかを検証していました。アリに気づかれないよう動かなくてはならない、でもアリはまだ乃木をただの商社マンとしか思っていないわけで、乃木の動きが鋭くても不自然ですし。かといって、アリはテロ組織の幹部クラスだということも乃木はわかっているので、バレてはいけない。絶妙なあんばいは、堺さんと山中さんだから、可能だったのではと思っています。
▼第1話「数多く登場したモンゴルの動物たち」
昨夏に、初めてロケハンに行ったのですが、そこらじゅうに動物がいて、人間と共生していることを実感しました。動物との距離感に触れたことで、監督もあのストーリーを思いついたのではと思います。実際の撮影では、3000頭のヤギたちをどう同じ方向に動かして、その中で馬を走らせるか、とても苦労していました。移動が成功するも、今度は砂埃が立ち過ぎてしまい乃木たちがまったく見えなくなるという(笑い)。それから散水車を呼んで水をまいて、地面をぬらして、など試行錯誤の末に、あのシーンが誕生したのです。VIVANTには、ラクダに命を救われるシーンもあり、動物がこのドラマの鍵を握っているんです。“動物の社会の中に人間がいるような感じ”と堺さんがモンゴルを表していらっしゃいましたが、モンゴルは人間と動物との距離感が日本とまったく違います。人が動物を“飼っている”という感覚ではないんです。ですがそれは、日本がまだ遅れているだけあって、世界では当たり前のことだと痛感しました。長旅を助けてくれたラクダを乃木と薫(二階堂ふみ)が心配して、時間をかけてウランバートルまでドラムが戻すという描写はそんな世界基準の考え方を取り入れたいという監督のこだわり。乃木がラクダにモンゴル語で話しかけるのは、モンゴルの動物だからモンゴル語で、という堺さんのこだわりでもあります。
▼第1話「“F”のキャラクター」
乃木は普段、情けない男を演じているわけではありません。別班の乃木は“F”が担っているので、普段の乃木は温厚な性格。1話でチンギスから逃げている道中も、乃木はいつでも逃げられる状態です。でも、野崎(阿部寛)に素性がバレてしまう恐れがあるのであえて逃げません。また、野崎と行動を共にし、公安は“テント”に関してどこまで情報を得ているのか探る意図もあります。乃木と野崎のシーンを1話から見返してみると、そういった部分がよりわかると思います。
▼第2話「随所にちりばめられた日本文化」
野崎が乃木や薫に赤飯を振る舞うシーンがありますが、ドラムが食べるところてんやお餅(5話)、日本大使館で出される料理など、全体的に日本特有のものを数多く使用しています。
食べ物に限らず、乃木が住む日本家屋も、ベキ(役所広司)の刀もそう。福澤監督には、日本の人々はもちろん、やがては世界中の人に「VIVANT」を楽しんでほしいという思いがあり、日本の文化や風情をドラマ内にたくさんちりばめました。乃木と薫が抱き合うシーンの背景を桜にしたり、ベキの故郷が奥出雲で、古くからたたら製鉄や稲作が栄えた地域だったり。世界に発信しているものが、日本の人も改めて日本の良さに気づかされるきっかけになるのではないかと思っています。
▼第2話「伏線が回収されていないシーン」
第2話は最終回につながる部分があります。第1話で壮絶な戦いを繰り広げたチンギスは、それがあったからこそお互いを認め、第5話で野崎はチンギスと手を組みます。第2話で野崎が「ちょっと用事ができた」とナジュム(Bruce Taylor)を連れて行ったシーンの真意も回収されていません。さらに、英子(檀れい)とワニズ(河内大和)の会話も、改めて見返すと、最終回を観るときにドキドキできると思います。
▼第3話「数多くのセットに隠された工夫」
データセンターに忍び込む撮影は本当に大変でした。コンビュータがいくつも設置された部屋はセットで、警備室前はロケで撮影しています。野崎や東条(濱田岳)がいる車もセットです。今回はセットを50以上も制作していますが、実はいろいろと使い回しをしています。
例えば、データセンターの壁を公安の会議室の壁に使ったり、病院の壁を部屋に使ったり、台本がそろっている状態で撮影をスタートさせたことで「このセットを次はここに活用しましょう」というプランを美術さんが立て、それに則った撮影スケジュールを組むことができました。ただ、使い回していることが分からないように、第1話で使用したものをラストに回すなど、工夫を凝らしています。
▼第4話「新庄(竜星涼)を責めないで!」
新庄が山本(迫田孝也)を見失うシーンも、いろいろと考察がなされていましたが、追われている側も相当に訓練された人物ですからね。山本も別班の黒須(松坂桃李)が助けていますし、たぬきの置物を見ている隙に乃木を見失ったのも、そもそも乃木は別班ですから。なので皆さん、新庄ばかり責めないであげてください(笑い)。
▼第5話「別班特有の連絡手段と、謎の登場人物」
乃木が神田明神でほこらをチラっと見るシーンは、後で別班の連絡方法に関係していることが分かります。まんじゅうが供えてあり、それを確認してお茶屋に行くという流れもスパイ映画のようなシーン。あまり触れられていませんが、あのお茶屋の店主(小林勝也)はもしかしたら、二人が別班だと分かっているのではないでしょうか。
▼第5話「マスコットキャラクターのヴィヴァンちゃんが本編に登場!」
日曜劇場には重厚なイメージがあり、今回は放送前に作品に関する情報をほぼ出さなかったこともあり、あえてイメージとは正反対のかわいらしいキャラクターを立ててPRをしようと考えました。このヴィヴァンちゃん、5話に出演しているんです。ぜひチェックしてみてください。割と画面のど真ん中に、こっちを向いてほほ笑んでいます(笑い)



