ジャニーズ事務所が19日に取締役会を行い、同日夜、公式サイトで、創業者ジャニー喜多川氏(19年死去)の性加害問題を受け、社名変更を示唆した。

新社長東山紀之(56)の署名入りで、被害補償の具体的方策、所属タレントおよび社員の将来など、今後の会社運営に関わる大きな方向性について議論したことを明かし、新体制となる10月2日に進捗(しんちょく)内容を具体的に報告するとしている。創業から60年以上続いた「屋号」の変更となれば、各方面に影響を与える可能性も大きい。危機管理論に詳しい東北大学特任教授の増沢隆太氏に話を聞いた。

    ◇   ◇   ◇

ジャニーズ事務所の社名に関して、いずれ変えるのではないかと想像していました。今月7日の会見で東山新社長は「絶対に社名を変えない」とは言わず、社名変更の余地について「それもある」と含みを残していました。

会見後、ジャニーズのタレントを起用していた大手スポンサーがドミノ崩しのように次々と降りていったことが社名変更を検討する大きな要因になっていると思います。

所属タレントに対して創業者が性加害をしていたことを認めた会社が、その創業者の名前を冠した社名を存続させることは欧米諸国ではまず理解を得られません。ジャニーズのスポンサーは国際的にも認知されている企業が多いこともあって、まず「危ない橋を渡らない」ことを優先したんだと思われます。

タレントには罪はありません。会見で井ノ原快彦さんでさえ「何てことをしてくれたんだと思っています。いいかげんにしてほしい」とジャニー氏に感情をあらわにしました。ジャニーズという屋号がタレントを守る安全装置でなくなったことへの対処としての社名変更なんでしょう。

おそらく「ジャ」という言葉もいれないぐらいの社名変更をするのではないでしょうか。看板を変えるだけですべてが好転するわけでないので、事業やエリアなどで法人を分割することが考えられます。東日本と西日本、海外部門や育成部門など。被害者救済部門のみ、藤島ジュリー景子代表取締役の直轄継承法人にするなどもあり得ます。経営戦略など厳しい判断が求められ、東山社長の経営手腕が試されることになりますね。(東北大学特任教授)