子育てが一段落した時期に、夫婦関係が危うくなるのはよくある話だが、この映画ではその再生の道筋がユニークに描かれる。
中年にさしかかったアレックス(ウィル・アーネット)とテス(ローラ・ダーン)の夫婦が別居を決める。元五輪選手テスの心に代表コーチという長年の夢が頭をもたげてきたのだ。
円満な別れのはずだったが、ある夜、帰る家がないことに寂しさを覚えたアレックスは、ふと入ったカフェでスタンダップコメディーに飛び入り出演する。
あけすけに語った別居生活が意外なほどウケて、居場所を見つけた気になった彼は話術を磨く決意をする。すっかり「常連」となった頃、たまたまテスが店を訪れる。彼の思いに改めて接した彼女は…。
監督、脚本、そして出演を兼ねたブラッドリー・クーパーが知人の身に起きた実話を元にした作品だという。スタンダップコメディーについては、日本の芸人の苦闘を追ったドキュメンタリーを見たことがあるので、しれっと敷居をまたぐネーティブの優位を実感させられる。ニューヨークの飾り気のない日常生活が魅力的に映しだされ、年輪を重ねたローラ・ダーンが愛らしい。【相原斎】
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