サザンオールスターズが1日、桑田佳祐(67)の出身地、神奈川・茅ケ崎公園野球場で、10年ぶり3度目となる「茅ヶ崎ライブ」最終日4日目の公演を開催した。今年6月にデビュー45周年を迎えた“国民的バンド”が、声出しあり、放水ありの野外ライブで、ヒット曲を中心とした26曲を披露。コロナ禍が明けつつある日本を、明るく照らした。
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“今 何時-?“そうね、だいたい…”午後5時。ライブ開幕を待つ観客のざわめきの中、茅ケ崎の生んだ大スター加山雄三(86)の「君といつまでも」のBGMに乗せ、桑田を先頭に原由子(66)関口和之(67)野沢秀行(68)松田弘(67)の順で5人が肩に手を乗せて連なり、ステージに登場した。「C調言葉に御用心」で幕を開け、桑田は「愛とロマンを歌う、サザンオールスターズです」とジョークを交え“凱旋(がいせん)”を報告した。
5万人収容のドームを満員にする力を持ちながら、感謝と愛郷を胸に、周年ライブの地に三たび、なじみの市営球場を選んだ。「私個人的には里帰りさせていただきました。どうもありがとう。皆さん、茅ケ崎へようこそ。このステージに10年ぶりに帰ってまいりました」と笑顔を見せた。メンバー全員が65歳を超え、「全員紙オムツ履いています(笑い)。ステージ上は、ちょっとした高齢者施設でございます」と“桑田節”も健在。「我々、目立ちたがりやの芸人でございますけど、コロナ明けではございますが、熱いご声援とパワーをいっぱいください!最終日、何でもやります!! パンツ脱ぎます!!」と盛り上げた。
コロナ禍の20年に横浜アリーナから大規模無観客配信ライブを2度行い、約2年半ぶりに生の歓声に包まれた。「東京VICTORY」では、会場のいたる所から白いレーザーが照射。客席中央で1点となり、未来への希望を表すような光の球体が夜空に浮かんだ。腕に付けた「烏帽子ライト」を光らせたファンと拳を突き上げて合唱し、会場が一体となった。
1つのライブでの振れ幅の広さは変わらない。「いとしのエリー」「真夏の果実」などの名バラードをしっとり。「みんなのうた」では、桑田が「水に流すのはどうだい?」とあおり、野外ライブお約束の放水タイムで“お祭り騒ぎ”となった。「マンピーのG★SPOT」では桑田が、「相模33 ち ・・45」ナンバーの車がデザインされた、お約束のヅラをかぶり、ピンクワンピースのセクシーダンサーとともに“異空間”を作り上げた。
約2時間半で、昭和から令和まで3時代にかけてリリースした全26曲を披露。ラストは「砂まじりの茅ケ崎」の歌詞で始まる78年のデビュー曲「勝手にシンドバッド」が選ばれた。間奏では熱狂のコールアンドレスポンスを行い、クライマックスを迎えた。
1日1・8万人、4日間で7・2万人を動員。9月30日、10月1日には全国の映画館でライブビューイングが行われ各10万人、総動員数は27・2万人となった。桑田は「みなさんに会えるというのは幸せでございます。また楽しい逢瀬(おうせ)がかないますよう、サザンオールスターズ、次なる計画を練って、皆さんにご報告する事をお約束致します!」。45周年、そして50周年-。日本が誇る“国民的バンド”は、これからも“音楽人”として音楽を届けていく。【佐藤勝亮】